ツジモト・タロウ

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ツジモト・タロウ(Taro Tsujimoto)は、1974年NHLドラフトにおいてバッファロー・セイバーズに第11巡指名選手として正式にドラフトされた架空アイスホッケー選手[1][2][3]

当時セイバーズのゼネラルマネージャーだったパンチ・イムラックは、電話によるドラフト手続きの遅さにうんざりしており、NHL会長を28年間勤めていたクラレンス・キャンベルとリーグに対してジョークをかますことを決めた。イムラックは広報ディレクターのポール・ウィーランドに連絡をとり、「セイバー(Sabre)」の日本語訳と一般的な日本人の人名を調べさせた[4]。ドラフトが第11巡になったとき、イムラックは日本アイスホッケーリーグ、「トーキョー・カタナズ」のセンターでスター選手の「ツジモト・タロウ」を指名した[1]。「ツジモト・タロウ」の名はバッファロー地域の電話帳から見つけたものを元にしたでっちあげであり、チーム名の「カタナズ」は「セイバーズ」の適当な日本語訳だった。NHLはこの指名を正式に登録し、信用ある『The Hockey News』誌をはじめあらゆる主要メディアで報道されてしまった[1][2]

イムラックはその後数週間、このウソのドラフト指名を明らかにしなかった。NHLは結局その公式記録を正して「無効な指名」としたが、それはいくつかのNHLガイドおよびレコードブックにツジモトの名前が掲載された後のことだった[1][2]。ツジモトは今もなおセイバーズ・メディアガイドのセイバーズドラフト指名選手一覧に記載されている[5]

「タロウ」はほどなくセイバーズファンおよびスタッフの間での内輪ネタになった[4]。 ドラフトの後数年間、セイバーズファンはバッファロー・メモリアル・オーディトリアム(当時のホームアリーナ)で試合が敵チームのワンサイドゲームになると、“We Want Taro” のチャント[6]を唱えた。また、「タロウ曰く...(Taro Says...)」とはじまる、敵チームや敵チームの選手を揶揄するコメントが、長年にわたって観覧席の手すりに掲げられていた。

脚注[編集]

  1. ^ a b c d Meltzer, Bill (2006年6月15日). “Asia Hockey League: Pioneering hockey's great frontier”. hockeydraftcentral.com. 2007年7月31日閲覧。
  2. ^ a b c 1974 NHL Draft Pick”. hockeydraftcentral.com. 2007年7月31日閲覧。
  3. ^ THE LEGEND OF TARO TSUJIMOTO
  4. ^ a b Bailey, Budd, Celebrate the Tradition: 1970-1990, Boncraft Inc., 1989, p. 40.
  5. ^ History (PDF)”. Buffalo Sabres and the National Hockey League (2006年). 2007年7月31日閲覧。
  6. ^ 訳注: スポーツ観戦におけるチャントとは、観客が声を揃えて応援、あるいはヤジるかけ声のこと。

外部リンク[編集]