ダイアネティックス

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ダイアネティックス(Dianetics)とは、1950年L・ロン・ハバードによって執筆され、アメリカにおいて発表された人間の心に関する専門書。ダイアネティックスは、従来のカウンセリング方法や催眠療法等とは異なり、一般の人々でも行える効果的なカウンセリング技術である。世界で最も読まれている「心」の専門書とされている。人間の『無意識』と呼ばれる「心」の領域を初めて構造的に説明した。そして、オーディティングと呼ばれる独自の技術は、瞬く間に全米に普及し、その後、世界中に広まった。

ダイアネティックスとは[編集]

1950年に、L・ロン・ハバードが著した「心」に関する専門書である。アメリカに於いて『ダイアネティックス』が発表されるやニューヨーク・タイムス紙が選ぶベストセラーリストに26週間選出された。これは、「心」の専門書として異例のことであり、現在でも、世界で最も読まれた『心の専門書』とされる。

L・ロン・ハバードは、ダイアネティックスの中で、フロイトが発見した「無意識」の領域について、初めてその仕組みを構造的に解き明かした。これまで説明の付かなかった人間の不合理な振る舞いや不安、怒りといった感情、更には「心因性の病気」の原因を発見し、解決する為の独自のカウンセリング技術を発展させた。

著者である、L.ロン・ハーバードは、この「心」という人間にとって、最も身近な主題について執筆する際に、可能な限り学術的用語を排し、平易な言葉や親しみ易い用語を用いることによって、この「心」の世界をより多くの人々が自ら理解し、また解決することを意図したと述べている。

反応心と分析心[編集]

ダイアネティックスでは、人間の心を「反応心」「分析心」というふたつの機能に分類して説明している。「反応心」とは置かれた環境からの刺激によって不合理な「判定」を引き起こす心の働きであり、本人の意思に関わらず「刺激-反応」による自動性によって機能するという。また、反応心は「有害なエネルギー」を含んでおり、それが繰り返されるストレスの発生源となっているという。一方「分析心」とは人々を生存に導く理性、及び合理性に基づいて考え判断する「心」の機能を指している。「分析心」は、日々様々な状況で「反応心」との不整合を起こしており、このことが、本来の人間の持つ生存性を奪っている要因であると説明する。ダイアネティックスは、この反応心に記録され不合理な判断や否定的な感情、或いは心因性の病気の源となってしまっている過去の経験をオーディターと呼ばれるカウンセラーと共に、オーディティングと呼ばれる方法によって軽減し、また消去するカウンセリングである。 これは、決して催眠術などではなく、逆に無意識にコントロールされていた「反応心」の作用から目覚め、意識を回復させる為の方法とも言える。

また、反応心を軽減・消去するにつれ、人はより安定し、理性的で、活動的となり、より能力を発揮できるようになるという。

オーディティング[編集]

ダイアネティックスでは、施術者によるカウンセリング行為をオーディティング[1]と呼んでいる。ダイアネティクスにおけるオーディティングは、オーディター[2]と呼ばれる施術者が、被術者の過去の苦悩・苦痛の瞬間を何度も再体験[3]しながら、被術者は出来事の状況を詳しくオーディターに話すことで、出来事からの被術者への有害な影響を軽減、または消去することが可能だと説明する。オーディティングも参照。否定的な過去の記録をオーディターの協力を得ながら見直す一連の手順によって、被術者は、次第に過去の否定的な経験から開放され、個性や能力、健康を回復、向上させていくことが可能だという。そして、最終的に、反応心が全て処理されると『クリアー』と呼ばれる状態に到達するという。クリアーとは、個人(第1のダイナミック)〔存在のダイナミック原則より〕に於いて反応心を最早持たない状態、或いはその人をいう。

ダイアネティックスの影響と心理学の現在[編集]

ダイアネティックスによると、反応心を消去していくと過去の苦痛の経験から開放され、本来の人格や個性といったものが、より自然と発揮されるようになるという。

ダイアネティクスの手法が既存の「心理学」におけるカウンセリングの手法とかけ離れていることを理由に効果を疑問視する声もある。しかし、現代に於いて「心理学」は一つのまとまった科学とは言い難く、フロイトユング、カール・ロジャース、アドラーその他に至るまで、様々な主張の集合であり、これまでに、数多くの学説と治療が考案さらてきたが、これらの治療の不確実性は、常にこの学問全体を覆う疑問であり、永続する課題でもある。ヴント派、それを否定するゲシュタルト派、行動心理学派など数多くの学術的派閥が現段階に於いても仮説を対立させながら複雑化し、停滞していることも事実である。ダイアネティックスは、こうした既得権益者、及び学術的な権威主義とは、一線を隔す立場を取り、逆に、大衆の誰もが理解し活用し得る『心』の科学を提唱している。

書籍の販売[編集]

書籍『ダイアネティックス』は50を超える言語に翻訳され、合計で2,000万部以上が販売された。

音楽家、歌手である長渕剛氏は、最も影響を受けた本の1冊として『ダイアネティックス』を挙げている。その中に書かれていた一節に大きな影響を受けたと語っている。後に存在のダイナミック原則として知られることとなる宗教哲学サイエントロジーの基本理論の一つである『あらゆる生命の共通項とは…」の一節を指している。

現在のサービス提供状態[編集]

現在、ダイアネティックスのオーディティング・サービスは、基礎的な講座、ダイアネティックス・グループ、サイエントロジー教会、又は、認定された、フリーのオーディターによる提供が為されている。

参考文献[編集]

  • 『ダイアネティックス』 ISBN 4931223168
  • 『科学の進化』 ISBN 4931223206
  • 『生存の科学』
  • 『自己分析』
  • 『ダイアネティックス55』
  • 『上級の手順と公理』
  • 『ダイアネティックス原論』
  • "Self Analysis"
  • "Dianetics 55"
  • "Dynamics of Life"

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 英語表記ではauditing。「聴くこと」「判定すること」を意味する英語の『audit』に由来する造語。
  2. ^ auditor
  3. ^ ダイアネティクスでは、「まるで実際に経験しているかのように、過去の視覚・聴覚・味覚・触覚・嗅覚その他、心に記録された情報を呼び起こし、出来事を通り抜けさせること」と説明している。