スタータークラッチ

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スタータークラッチ (: starter clutch) はオートバイを構成する部品のひとつで、エンジン始動時にはセルモーターキックスターターなどの始動装置からのトルクを伝達し、始動後はエンジンから始動装置へのトルクを遮断する機構である。

概要[編集]

スタータークラッチの主要構造にはワンウェイクラッチが用いられている。これによりセルモーターがエンジンの回転を受けて常に回転したり高速回転したりすることなく、破損が予防される。例えば内輪にクランクシャフトが接続され、外輪の歯車にセルモーターが接続される。エンジンが停止している状態でセルモーターが回転するとスプラグが噛み合い、クランクシャフトへ始動トルクが伝達される。エンジンの始動後にセルモーターが停止したり、クランクシャフトの回転速度がセルモーターより速くなると、スプラグのかみ合いが外れてクランクシャフトからセルモーターへのトルク伝達が切断される。また、万が一セルモーターが配線の誤接続などにより逆回転した場合にもクランクシャフトの逆転が防がれる。

スタータークラッチは、キックスターターリコイルスターターなどの人力始動装置へ適用された。当初の設計ではセルモーターをダイナモとしても利用する構造で、クランクシャフトとの駆動伝達を切り離すことは考慮されてはいなかった。その後エンジンの高回転化が進んで、セルモーターがクランクシャフトの高速回転に耐えきれずに故障する事例が発生するようになった。自動車においてはソレノイドでピニオンギアをスライドさせて、フライホイールのリングギアへの動力伝達を行っているが、この構造はセルモーターが大型化する上に、ソレノイドの消費電力に対してオートバイに搭載される小型のバッテリーでは容量が足りないため、オートバイでは採用しにくい。一方、Bendixのスタータークラッチは小型軽量で、クラッチ機構の作動に電力を必要としないため、現在でも広く搭載されている。

しかし、スタータークラッチのスプラグは、スライド式のピニオンに比べると許容伝達トルクが低く、エンジン回転中はベアリングとしての働きを常時行わなければならないため、全体的な寿命が短い欠点がある。そのため、スタータークラッチの利用はオートバイ用エンジンなどの小型エンジンでの利用に限られている。

関連項目[編集]