サラノマングース

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
サラノマングース
サラノマングース
サラノマングース
Salanoia concolor
保全状況評価[a 1]
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 哺乳綱 Mammalia
: ネコ目 Carnivora
: マダガスカルマングース科 Eupleridae
: サラノマングース属 Salanoia
: サラノマングース S. concolor
学名
Salanoia concolor (I. Geoffroy, 1837)
和名
サラノマングース
英名
Brown mongoose
Brown-tailed mongoose
Malagasy brown-tailed mongoose
Salano

サラノマングースSalanoia concolor)は、哺乳綱ネコ目(食肉目)マダガスカルマングース科サラノマングース属に分類される食肉類。

分布[編集]

マダガスカル島北東部[1][2]固有種

形態[編集]

体長25-35センチメートル[2]。尾長16-25センチメートル[1][2]体重0.6-0.8キログラム[2]。毛衣は褐色[1]。黒や淡黄褐色の体毛が混じる[2]

分類[編集]

イジドール・ジョフロワ・サン=ティレールによって、1837年にワオマングース属の構成種 Galidia unicolor および Galidia olivacea として記載された[3]。現在ワオマングース属はワオマングース Galidia elegans のみの1属1種である[4]。なお、このときの種小名 unicolor は誤植であり、後日ジョフロワ・サン=ティレール本人の注記と訂正表によって concolor に訂正された[5]1865年[Note 1]、イギリスの動物学者ジョン・エドワード・グレイGalidia 属の亜属として Salanoia亜属(サラノマングース属)を設け、concolorolivacea をサラノマングース属に分類した[7]1882年、イギリスの動物学者セントジョージ・ジャクソン・マイバートもまたconcolorolivaceaGalidia属から分け、別の Hemigalidia 属に分類したが Salanoia とは記載しなかった[8]1904年、アメリカの動物学者パーマーは著書 Index generum mammalium の中で、この種の属名としてはSalanoia が適当であると述べている[9]。動物学者グラバー・モリル・アレンは1939年Salanoia olivaceaS. unicolor の2種として記載しているが[10]1972年に、ローランド・アルビニャックは単一の種であることを認め Salanoia concolor と記載している[11]2010年、サラノマングース属2番目の種としてダレルズ・ボンツィラ Salanoia durrelli が記載された[12]

生態[編集]

多雨林に生息するが、ヨシ原に生息することもある[2]。単独もしくはペアで生活する[1]昼行性で、夜間になると地面に空いた穴や樹洞、樹上などで休む[1][2]

食性は雑食で、昆虫カエル、小型哺乳類、果実などを食べる[1][2]

繁殖形態は胎生。主に夏季に1回に1頭の幼獣を産む[1][2]。4年9か月の飼育記録がある[2]

人間との関係[編集]

生息地の破壊により生息数は激減している[2]

脚注[編集]

注釈

  1. ^ この訂正は『ロンドン動物学会紀要(Proceedings of the Zoological Society of London)』の1864年版にみられるが、この『紀要』は記載された出版年と実際の出版年にずれがあることが多く、Salanoiaが記載された1864年版は実際には1865年5月に出版されている[6]

出典

  1. ^ a b c d e f g 今泉吉典監修 『世界の動物 分類と飼育2 (食肉目)』、東京動物園協会、1991年、102頁。
  2. ^ a b c d e f g h i j k 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ8 太平洋、インド洋』、講談社2001年、161頁。
  3. ^ Geoffroy Saint-Hilaire, 1837, p. 581
  4. ^ Wozencraft, 2005, pp. 560-561
  5. ^ Geoffroy Saint-Hilaire, 1839, p. 37
  6. ^ Allen, 1939, p. 227; Wozencraft, 2005, p. 561
  7. ^ Gray, 1865, p. 523; Allen, 1939, p. 226
  8. ^ Mivart, 1882, p. 188
  9. ^ Palmer, 1904, pp. 317, 617
  10. ^ Allen, 1939, p. 228
  11. ^ Albignac, 1972, p. 677
  12. ^ Durbin et al., 2010

参考文献[編集]

外部リンク[編集]

  1. ^ The IUCN Red List of Threatened Species
    • Hawkins, A.F.A. & Dollar, L. 2008. Salanoia concolor. In: IUCN 2011. IUCN Red List of Threatened Species. Version 2011.1.