サイファー (漫画)

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サイファー』は、かとうひろしによって『月刊コロコロコミック』(小学館)に1995年10月号から1996年8月号まで連載された少年漫画単行本てんとう虫コミックス)は全2巻(現在絶版)。

概要[編集]

この作品は、それまでタイアップ漫画が中心であったかとうひろしが『コロコロ』で再デビューを飾った後の初オリジナル作品である。『激闘英雄伝・ワールドヒーローズ』が終了し、編集部から「オリジナルをやってみないか?」という案がサジェストされ、読みきり作品からはじまり「オリジナル作品の連載獲得」への日々が続くこととなる。ラフ案、スケッチなどを含めその執筆量は200ページ以上に及んだともいわれる。そして、1995年に編集会議をクリアし、ついに『コロコロコミック』で初となるかとうひろしオリジナル作品である本作が連載されることとなる。

児童漫画でありながらグロテスクな描写も含まれている他、強い怪奇性・ホラー性と暗さを帯びた作風が特徴であり、この作品はのちのかとう作品にも通じる怪奇恐怖路線の連載第一作ともなった。

2008年発売の『熱血!!コロコロ伝説』最終刊に同作が収録されることが決定していたものの、最終的に選考から漏れる(ただし、『熱血!!コロコロ伝説』のコンビニコミック版第2巻『恐愕!!トラウマまんが傑作選』に本作の第1話と第3話が収録された)。代わりにかとう作品では『仮面ライダーSD 疾風伝説』が1991-1992に収録されている。

また、作者が専門学校向けなどに執筆した「マンガのマンガ」という作品ではこの作品の導入部を利用し、どういった構成が読者を惹きつけるかという題材として紹介されている。

2007年からは携帯電話向けに「ケータイ★まんが王国」で配信されている。また作者の公式ホームページ内で全話無料で閲覧可能。

あらすじ[編集]

額に星型のあざを持つ少年、「諸星一輝」は不思議な夢に悩まされていた。「PSYPER」という謎の言葉を残す怪物と「やつらがやってくる」という謎の声。そんな一輝にはスプーン曲げなどの超能力があり、友達にもよく自慢げに見せていた。しかし、ある日謎の大男が現れ夢の中のあの声が忠告する。「その男から早く離れろ」と。男と出会ったのち、母親に祖父が事故に遭ったと告げられ病院に向かうが、そこは既に廃屋と化していた。母親の正体は、母親に擬態していた怪物「ガイ魔」であった。ガイ魔・バンディの突然の襲撃に2つ尾の犬が一輝を助ける。その犬こそガイ魔と闘う力を持つサイコ・パワーを持つ戦士『サイファー』との会話が可能なドラゴンドッグ「ウォン」であった。闘いの中、母親が殺されたことを知った一輝は怒りでパワーを解き放ち、襲い来るガイ魔を辛くも撃退する。

ウォンからガイ魔の目的を聞かされた一輝は混乱するも、ガイ魔・ヴォルグに操られた同じマンションの住人が自分たちへと襲い掛かってきたことから、自身の身と周囲の人を守るため、そして人類を脅かす「ガイ魔王」の復活を阻止するために、同じサイファーたる仲間たちを探して旅立つのだった。

まずイッキたちが目をつけたのは、超能力少女としてTVで取り上げられていた姫野ミカだった。しかし彼女はイッキたちの目の前で、ガイ魔・ズーに操られた自動車によって撥ねられてしまう。病院に搬送されたミカを守ってイッキはズーと戦うが、苦戦を強いられる。しかしウォンの呼びかけによってミカがサイファーとして覚醒したことで形勢逆転。ズーに勝利した二人は共にガイ魔と戦うことになる。

続けてイッキたちはTVで話題の霊能力者と接触するため、心霊番組の撮影が行われる廃屋へと忍びこむ。しかし霊能力者は完全なインチキで、廃屋に巣を張っていたガイ魔・フェイススパイダーによって撮影スタッフともども喰われてしまう。イッキたちもフェイススパイダーとの戦いに苦戦するが、駆けつけた炎修太によって窮地を救われ、彼の持ってきた手紙に従って赤霧市を目指す。

赤霧市へ向かう列車内でムカデ型ガイ魔の襲撃を切り抜けたイッキたちは、そこでイワン、シンという二人のサイファーと出会う。ガイ魔王が封印されている赤霧では、霧の中を吸血型ガイ魔が徘徊して人を襲い、ガイ魔王復活のため血を集めて回っていた。イモ虫型ガイ魔を倒したイッキたちは、ガイ魔に協力するサイファー・ニヒルをガイ魔・パラサイターから解放するが、彼は説得に応じず姿を消してしまう。

ついにガイ魔王復活の時が迫り、イッキたちは赤霧山地下でガイ魔たちとの決戦に挑む。しかし多勢に無勢で、一人、また一人とサイファーたちは倒れていく。もはやここまでと覚悟を決めたイッキは、持てる念動力のすべてを駆使して赤霧山を噴火させ、溶岩でガイ魔王と軍勢を滅ぼそうとする。自らの死を予見していたシンが溶岩に飲み込まれる中、駆けつけたニヒルがイッキたちをテレポートで脱出させようとする。しかし直後に本格的な噴火が始まり、イッキたちもまた溶岩に囲まれてしまう。

すべてが終わった後、何も知らない人々は赤霧山の噴火も些細なこととして片付けてしまっていた。そんな中、二本の尾を持った野良犬が雑踏の中へと歩いて行くシーンで物語は幕を下ろす。

登場人物[編集]

サイファー[編集]

作中に登場する超能力者の総称。劇中では何を意味するかは明言されていなかったが、単行本の巻末に掲載された設定資料集ではPSYCHO POWER FIGHTER(サイコパワーファイター)の略称であると説明されていた。ウォンによると、サイファーは世界中にいるとのこと。設定資料にも登場しなかったサイファーたちのデザインが数人掲載されている。

諸星一輝(もろぼし いっき)
主人公。額に星型のあざを持つ。彼の力は思念で物を動かしたり破壊したりするコトのできる超能力「念動力(テレキネシス)」。
能力自体は既に覚醒していたものの最初は思うように扱うことが出来なかったが、闘いの中、怒りによって超能力を開放していく。
ウォン
二本の尾を持つ竜犬族(ドラゴンドッグ)の生き残り。かつて彼の一族は人間に味方したため、ガイ魔によって滅ぼされた。
幻覚投射などの簡単な超能力が使えるが、ガイ魔に対抗できるほどの戦闘力は持っていない。
同じ作者の読みきり作品「ドラゴンMyフレンド」にも同名の竜犬族(ドラゴンドッグ)が登場するが、同一人(犬)物ではない[1]
姫野ミカ(ひめの みか)
白い天使の力の持ち主「治癒能力者(ヒーラー)」。15歳。手のひらに星型のあざを持つ。ガイ魔によって致命傷を負わされ死の淵をさまよっていたが、ウォンの呼びかけにより意識を取り戻した。ヒーラーとしての潜在能力は高く、呼びかけに応じて目覚めた後、瞬く間に起き上れるほどに回復した。
少々気の強い性格で、出会った直後からやんちゃな性格の一輝と反目していたが、一輝のよき姉的な役割としてチームをサポートしていく。
炎修太(ほむら しゅうた)
通称「チビ」。炎を自在に操る力をもつ「発火能力者(ファイアースターター)」。洋館でピンチに陥っていた一輝たちをかろうじて救う。能力が能力なので直接的な攻撃力・殺傷力が非常に高い。
シンの予知に従い、一輝らをシンの元へと連れて行くことが目的であった。サイファーの中では最年少でまだ幼稚園児であるが、ガイ魔との戦いにおいては一切の躊躇いを見せず、救う手だてが殺す以外にないと判断すれば人間であろうと迷わず手にかけるなど、その判断力と胆力は子供の域を超越している。
単行本に載っていた設定資料によると、彼の実家は「発火能力者」の家系であり、彼の火力は歴代最強とのこと。また、「炎修太」という名前も本編では使われておらず、単行本の登場人物紹介と設定資料のみに記載されている。
イワン
心の声を聴くことと心に入り込んで自らの声を聞かせることもできる能力者「精神感応(テレパス)」。どんな人間の心も読むことが出来るが、その声は好む好まずにかかわらず聴こえてしまう。
サイファーには珍しく戦闘力はほとんど持っていない。サイファー一の巨漢だが、親の愛を知らないがゆえに悪に属した尼蛭の孤独と悲しみを思いやり涙を流す優しい心を持っている。
シン
未来を予知する能力を持つ「予知能力者(プレコグニション)」。ただし、確定していない未来を見ることはできない。
ガイ魔王復活に備え、6人のサイファーを全て呼び寄せることが目的であり、修太を一輝の元へ向かわせたのも彼である。
尼蛭(にひる)
一瞬のうちに空間を移動する能力の持ち主「瞬間移動(テレポーテーション)」。両親を知らない捨て児であり、施設でのいじめや親の温かさと愛情を知らないために全ての人間を敵とみなし、最初はガイ魔と手を組んで人間界の王となることを目論んでいた。
しかし、一輝らとの闘いで人間としての心を取り戻し、窮地に陥ったイッキたちに助けの手を差し伸べた。

ガイ魔[編集]

人間の生まれるよりもはるか太古から地球上に存在している生命体で、人間が持つ恐怖という感情が発するエネルギーを糧として生きる怪物である。アジア、アメリカ、ヨーロッパ各地に潜伏しているガイ魔たちの下にサイファーハンターと呼ばれる下級のガイ魔たちが付く。ガイ魔王の復活にとって障害となりかねないサイファーたちを抹殺することが彼らの仕事である(単行本巻末の設定資料より。作中では詳しく語られなかった)。

バンディ
一輝の元に現れた最初のガイ魔。リザードマンのような爬虫類に似た姿で、体から金属の錆びたような臭いがする。変身能力があるが、変身には対象者の新鮮な細胞が必要となるため、相手を丸ごと食ってしまう。一輝の母親を殺した張本人。怒りで念動力の発動した一輝に、鉄筋を頭に突き刺され倒された。
ヴォルグ
一輝の命を狙う第2の刺客。一つ目玉に蝙蝠のような翼をもったガイ魔。戦闘能力は低いが催眠術で人を操る。一輝の級友やマンションの住人を操って襲わせた。催眠術で一輝を自殺させようとしたが、ウォンの幻覚投射で、車のバックミラーを一輝と錯覚させられ、自分自身に暗示をかけてしまったために自滅した。
ズー
ミミズの姿をしたガイ魔。一匹でなく集団で行動。無機物・生物に入り込んで操る。車を操って暴走させ、ミカに重傷を負わせた。更に、駐車場の警備員に取り付いて一輝に毒物を注射して殺そうともくろむも、駆けつけたミカに防がれ、正体を現して襲い掛かった末にミカの治癒で超能力を取り戻した一輝によって全滅させられた。
フェイススパイダー
巨大なクモの姿をしたガイ魔。人間の頭を食って取り込み、自身の体内で分身として育てる。食った人間の顔は腹の部分に浮かび上がり、苦しみの声を上げ続ける。
また、強力な粘液質の糸を吐いて動きを封じてくる。
火を恐れる性質があり、初登場したチビに焼き殺された。
(名称不明)
ムカデの姿をしたガイ魔。人間に噛みついて毒液を注入することで人間を洗脳して操り、役目を終えた人間の首をねじ切らせて自害させる。この洗脳は生きている限り持続し、更には人間の能力を100%引き出すことができる。自身に戦闘能力はない。
(名称不明)
巨大なイモムシの姿をしたガイ魔。二本の管から放出される毒液はあらゆるものを溶かし、体は傷つけられても、生半可なことでは死なずに、すぐ再生してしまう。目が見えず、聴力に頼って行動する。
一輝の作戦で、自分の毒液を浴びて、自分自身も溶けてしまった。
パラサイター
尼蛭に取り付いたガイ魔。触手の生えた脳のような姿をしていて、本体に戦闘力はないが、生物に寄生することでその者の細胞や超能力を自在に操ることが可能となる。
吸血ガイ魔
赤霧の町に現れたガイ魔。体つきはぶよぶよしたダルマのような体形で、体の動き自体は鈍いが、口から何本もの先端に毒針のある触手を素早く射出し、人間の生き血をその触手から吸い取る。しかし、その正体はガイ魔王復活の母体である。何十匹も存在し、それらが合体してガイ魔王となる。
ガイ魔王
全てのガイ魔を司る王。1万年間眠り続けたがついに復活の時が来る。

サイファーたちのその後[編集]

その後のことを知りたいと言うファンの要望に答えて原作者が自らの考えを掲示板上に告白したことがある。

それによれば、ウォンにも家族があり、戦後はその家族の下へと帰り静かに暮らしている。ミカと一輝は丁度姉弟のような関係ということになってきているので一輝をサポートしながらミカも自分の日常へと帰っていった。イワンと修太はそれぞれ自分の家族の場所へ、尼蛭は恐らく戦いの前と変わらず放浪しているが、一輝たちとであったことで少しは人間を信じることが出来るようになったのでは?とのこと。シンに関してはやはり死んでしまったとの認識であるらしい。

これは作者が一つの形として示したものであり、同じ文中には「皆さんの手で彼らのその後を想像してあげて欲しい」といった意図の文も見られた。

なお、ここ最近[いつ?]では『ラストエピソード』を30ページ前後の同人誌として発売できればという心境であることを明らかにしている。

脚注[編集]

外部リンク[編集]