ギャップダイナミクス

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ギャップダイナミクス (gap dynamics) とは、森林生態学用語の一つ。森林が、部分的に壊れては遷移することを繰り返し、全体としては極相の状態を維持すること、あるいはそういった考え方のこと。


森林におけるギャップ[編集]

ギャップとは[編集]

森林におけるギャップとは、林床の暗い森林に出来た、林床まで光が差し込む隙間である。極相を迎えた極相林では、通常、背の高い陰樹により林冠が形成され、林内は暗い状態である。しかし、背の高い高木が倒れると、周囲を巻き込んで林冠に大きな隙間を生じ、林床まで光が差し込む隙間が出来る。このため、新たな幼木が生長できる空間が出来る。

倒れる原因[編集]

自然災害、伐採、老衰や病気による死亡が主である。

ギャップダイナミクス[編集]

たとえば火災がたびたび起きて、それによって更新するような森林もあるが、日本で見られる森では、全体を破壊するような大規模な撹乱は森林の成立期間においてごくまれにしか起きないと考えられる。そういった森林では、遷移が進むと次第に陰樹の森となり、林冠を覆う陰樹のしたの林床は暗くなるので、陰樹しか発芽できない。発芽した陰樹の苗は、次第に背が高くなり、やがて先代の林冠を作った木と置き換わることで、森林はあまり変化せずにその状態を保つ、との考えがあった。

それに対して、一般的に林冠木の交代はギャップの形成とそこでの1本~数本の林冠木の単位で行われる。この場合、大木の倒れた後はある程度の広さとまとまりを持った明るい地表が現れるから、そこでは陽樹パイオニア的樹木が発芽する。それらが背を伸ばした後に、次第に陰樹が伸びて、簡単ながら遷移をしつつ元の森に戻るであろう。その過程をギャップダイナミクス、またはパッチダイナミクスという。

ギャップダイナミクスは森林の維持機構として非常に重要なものであると考えられている。

ギャップの形成は林内の、特に光循環の変化に大きく作用しギャップ形成後における光環境は形成前に比べ相対的に明るくなる。ギャップ形成後の植生はギャップの大きさに左右され、その後のギャップダイナミクスに大きく影響する。

関連項目[編集]