イガトキンソウ

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イガトキンソウ
Centipeda minima
イガトキンソウ
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : 真正キク類II Euasterids II
: キク目 Asterales
: キク科 Asteraceae
亜科 : キク亜科 Asteroideae
: キク連 Anthemideae
: タカサゴトキンソウ属 Soliva
: イガトキンソウ S. anthemifolia
学名
Soliva anthemifolia (Juss.) R. Br.
和名
イガトキンソウ
頭状花序

イガトキンソウ Soliva anthemifoliaキク科の小さな植物。花序がクリのイガのような姿をしている。別名にシマトキンソウ、タカサゴトキンソウがある。

特徴[編集]

地面を這う1年性草本[1]。細いは地表を這って伸び、所々から根を下ろし、そこから立ち上がる葉を束に出し、高さ5-10cmになる。葉は2-3回羽状に深く裂ける。最先端の裂片は幅1mmほど。全体にまばらに長く柔らかい毛が生えている。

花期は春。頭花は地面に接して着き、その基部からは根が出ることが多い。頭花には柄がなくて茎の上に直接につき、径は5-11mm、黄緑色。全体を包む総苞は膜状、ほぼ1列に並ぶ。その外側に数個の葉があり、その基部が広がって総苞を包むようになっている。

小花は2形あり、外側に雌花、内側に両性花がある[2]。両性花は8-12個でラッパ状の花冠があり、その先端は3つに裂ける。この花は種子をつけない。外側には多数の雌花があり、こちらには花冠はない。花柱だけが突き出して、その基部には多数の毛がある。種子では花柱が長い嘴となる。痩果は長さ2mm[3]、その外側にはコルク状の翼が発達し、これが果実の隙間を埋める。その結果、そうやって埋められた面から嘴だけが突き出した姿となる[4]

分布と生育環境[編集]

世界の熱帯域に広く分布し、原産は南アメリカとされる。日本では1910年に長崎で見つかり、長田(1976)では和歌山県から九州にかけて、地域によっては都市で雑草化している、としている。2003年時点では近畿以西の本州から九州に記録されているとのこと。奄美大島西表島は第二次世界大戦後に帰化した[3]

類似種[編集]

トキンソウとは姿形も似ていない。同属ではメリケントキンソウ Soliva sessilis が国内で発見されている。茎や葉の様子はマメカミツレ Cotula australis にも似ている。


出典[編集]

  1. ^ 以下、主として長田(1976),p.33
  2. ^ 以下、Bouffoer & Peng(1993)
  3. ^ a b 清水編(2003),p.221
  4. ^ Boufford & Peng(1993)

参考文献[編集]

  • 長田武正、『原色日本帰化植物図鑑』、(1976)、保育社
  • 清水健美編、『日本の帰化植物』、(2003)、平凡社
  • David E. Boufford & Ching-I Peng, 1993. Soliva Ruiz & Pavon (Anthemideae, Asteraceae) in Taiwan. Bot. Bull. Acad. Sin. 34 :p.347-352.