アボンダンス (チーズ)

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アボンダンス
Abondance
分類 ハードタイプ[1][2]
原料 牛乳
原産国 フランス
原産地 サヴォワ地方
生産場所 酪農協同組合、酪農工場、農家、シャレ(山小屋[3])など
形状 車輪型。側面は窪みを見せる。
大きさ 直径38-43cm、高さ7-8cm
重量 7,000-12,000gほど
乾燥成分 58/100g
脂肪分 48%以上
表皮 濃い黄色や茶色、布目、側面に産地を示すタグ(楕円形のものがフェルミエ(農家による自家製[4]))
熟成 最低90日
呼称統制 AOC (1990)
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アボンダンスフランス語: Abondance)は、フランスサヴォワ地方、オート=サヴォワ県で生産される、牛乳を原料としたチーズ[5]。ハードタイプに分類される[2]。年間2,400トンの生産量があるという[6]。同じ地方で生産されるボーフォールとの類似が指摘されるが、大きさはアボンダンスの方が小さめ[7]

名称のアボンダンスは「豊富」「多量」[2]「豊穣」[8]といった意味を持つと同時に生産地のひとつの地名アボンダンス英語版をもさす[2]。初めの頃はアボンダンス種の牛の乳を使用して生産されていた[5]。起源は14世紀で、聖アウグスチノ修道会に属していたアボンダンス修道院 (fr:Abbaye d'Abondance) [9] において、修道士により生産が開始された[5]アヴィニョン教皇庁クレメンス7世対立教皇としてたてるための会議上でこのチーズが話題になり、世間に知られることになった[5]。1990年のAOC認定では牛の品種はアボンダンス種のほか、モンベリアルド種、タリーヌ種もリストされている[2]

「フルーティーな甘みとヘーゼルナッツの風味」が渾然一体となった奥の深い味を持ち、軽めのワインと合わせるのがよいとされる[7]。カットしてそのまま食すだけでも良い[7]

脚注[編集]

  1. ^ 以下「基本情報」欄は、特記の無い限り下記文献(本間, 増井 & 山田 2009, pp. 14–15)による。
  2. ^ a b c d e 本間るみ子; 増井和子; 山田友子 著、文藝春秋 編『チーズ図鑑』 182巻(7版)、株式会社文藝春秋〈文春新書〉、2009年、14-15頁。ISBN 4-16-660182-2 
  3. ^ 前掲 (本間, 増井 & 山田 2009, p. 25)。
  4. ^ 前掲 (本間, 増井 & 山田 2009, p. 31)。
  5. ^ a b c d 日仏料理協会 編『フランス 食の事典(普及版)』株式会社白水社、2007年、18-19頁。ISBN 978-4-560-09202-6 
  6. ^ Statistics”. fromageabondance.fr. 2014年10月26日閲覧。(英語)
  7. ^ a b c 本間るみ子 著、主婦の友社 編『チーズの選び方 楽しみ方』株式会社主婦の友社、2012年、146頁。ISBN 978-4-07-285215-6 
  8. ^ サボォア”. 雪印メグミルク. 2014年2月27日時点のオリジナルよりアーカイブ。2014年10月26日閲覧。
  9. ^ この修道院の建築自体は現存する。1139年設立で、1606年からはシトー会に移管された。1761年に解散されて後、現在は村が管理している。ゴシック様式を見せる修道院の建築は、歴史的記念建造物として認定されている。

外部リンク[編集]