「ペルティエ効果」の版間の差分

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==概要==
== 概要 ==
[[ファイル:Peltier_effect_circuit.png|thumb|2種類の物質ABからなる[[熱電対]]]]
ペルティエ効果は[[ゼーベック効果]]の逆、電圧から温度差を作り出す現象である。
ペルティエ効果は次のような場合に起こる。異なる2種類の金属または[[半導体]](n型とp型を2つの点で接合したものに、[[電流]]を流す。電流は片方の接点からもう一方に動くとき熱も輸送する。片方の接点は冷やされ、もう一方は温められる。この効果は[[トーマス・ゼーベック|ゼーベック]]の最初の発見から13年後の[[1834年]]、[[ジャン=シャルル・ペルティエ]]によって観察された。

[[画像:Peltier_effect_circuit.png|right|2種類の物質A,Bからなる熱電対]]

ペルティエ効果は次のような場合に起こる。異なる2種類の金属または半導体(n型とp型)を2つの点で接合したものに、電流を流す。電流は片方の接点からもう一方に動くとき熱も輸送する。片方の接点は冷やされ、もう一方は温められる。この効果は[[トーマス・ゼーベック|ゼーベック]]の最初の発見から13年後の[[1834年]]、[[ジャン=シャルル・ペルティエ]]によって観察された。

電流 <math>I</math> は回路を流れる間、上の接点 (点 <math>T_2</math>)で熱を放出し、下の接点 (点 <math>T_1</math>)で熱を吸収する。単位時間当たりに下の接点で吸収される熱量 <math>\dot{Q}</math> は以下のようになる。


電流 <math>I</math> は[[回路]]を流れる間、上の接点点 <math>T_2</math>で熱を放出し、下の接点点 <math>T_1</math>で熱を吸収する。単位時間当たりに下の接点で吸収される[[熱量]] <math>\dot{Q}</math> は以下のようになる。
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導体は電流が流れる以前の平衡状態に戻ろうとして、一方の接点で熱を吸収し、もう一方で放出する。熱電対は直列につなぐことで、効果を強めることができる。

熱が移動する方向は電流の向きによって制御できる。電流の向きを変えると電子の移動の方向が変わり、熱の吸収・放出量の正負も変わる。


熱が移動する方向は電流の向きによって制御できる。電流の向きを変えると[[電子]]の移動の方向が変わり、熱の吸収・放出量の正負も変わる。
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A '''Peltier cooler'''/heater or thermoelectric [[heat pump]] is a solid-state active heat pump which transfers heat from one side of the device to the other. Peltier coolers are also called ''Thermo Electric Converter''s (TEC).
A '''Peltier cooler'''/heater or thermoelectric [[heat pump]] is a solid-state active heat pump which transfers heat from one side of the device to the other. Peltier coolers are also called ''Thermo Electric Converter''s (TEC).
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== 関連項目 ==
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*[[ペルティエ素子]]
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<!-- == 外部リンク == -->

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2012年6月1日 (金) 05:39時点における版

ペルティエ効果[1](ペルティエこうか、: Peltier effect[1])は、異なる金属を接合し電圧をかけると、接合点での吸収・放出が起こる効果ゼーベック効果の逆、電圧から温度差を作り出す現象である。トムソン効果とともに熱電効果の1つである。ペルチエ効果ペルチェ効果と表記することもある。

概要

2種類の物質A、Bからなる熱電対

ペルティエ効果は次のような場合に起こる。異なる2種類の金属または半導体(n型とp型)を2つの点で接合したものに、電流を流す。電流は片方の接点からもう一方に動くとき熱も輸送する。片方の接点は冷やされ、もう一方は温められる。この効果はゼーベックの最初の発見から13年後の1834年ジャン=シャルル・ペルティエによって観察された。

電流 回路を流れる間、上の接点(点 )で熱を放出し、下の接点(点 )で熱を吸収する。単位時間当たりに下の接点で吸収される熱量 は以下のようになる。

ここで、Π はペルティエ係数とよばれる係数で、熱電対全体、 はそれぞれの物質のペルティエ係数である。特に、p型のシリコンは正のペルティエ係数を持ち、n型のものは負の係数を持つ。

導体は電流が流れる以前の平衡状態に戻ろうとして、一方の接点で熱を吸収し、もう一方で放出する。熱電対は直列につなぐことで、効果を強めることができる。

熱が移動する方向は電流の向きによって制御できる。電流の向きを変えると電子の移動の方向が変わり、熱の吸収・放出量の正負も変わる。

脚注

  1. ^ a b 文部省日本物理学会編『学術用語集 物理学編』培風館、1990年。ISBN 4-563-02195-4http://sciterm.nii.ac.jp/cgi-bin/reference.cgi 

関連項目