高高度気球
高高度気球(こうこうどききゅう)は、成層圏などの高層大気に放たれる気球のこと。水素やヘリウムが充填され、18kmから37km程度までの高さに到達する。高度の高い場所まで到達させるため薄膜でできたものが主であり、より効率的な薄膜の開発なども行われている。
現代の気球は一般的に送信機、カメラ、GPS端末などの衛星測位機器などの電子器具を乗せている。これらの気球は空気の非常に薄い近宇宙圏の高度まで到達するが、衛星としては高度が十分でない。
南極では季節風によって気球が打ち上げ位置から非常に近くに戻る性質があり、気球を主とした研究では人気の場所となっている。
近年のGPSと通信機器の低コスト化から、高高度気球を利用したアースウォッチングなどが新興のホビーとなっている[1]。
利用
高高度気球で最も古く、最も一般的なものは観測気球である。高高度気球に積んださまざまな計器装置によって磁場現象や大気流、宇宙線やオゾン層など多くの分野での科学的データの収集が可能であり、細密な気象観測が可能になる。また、天体観測用の機材を組み込むことで対流圏のような低層大気中よりも効率のよい天体観測も可能である。
また、高層大気の実験プラットフォームとして利用されるほか、高高度から実験装置を落下させることによって微小重力実験を行う試みもあり、微小重力環境での材料化学実験などが行われる[2]。
冷戦中にはゲネトリクス計画で軍事偵察用としても使われている。
関連項目
註
- ^ "DIY balloon sent up 30km" Boing Boing dated 26 October 2007. Recovered on 8 June 2008
- ^ “高高度気球”. JAXA. 2011年12月28日閲覧。