風の聖痕RPG

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風の聖痕RPG(かぜのスティグマアールピージー)は、2007年6月に富士見書房富士見ドラゴンブック)から出版されたテーブルトークRPG山門敬弘のライトノベル『風の聖痕』を原作としている。著者は三輪清宗F.E.A.R.イラスト納都花丸&みかきみかこ

概要

精霊術師のプレイヤーキャラクターを操って、世界を脅かす妖魔などと戦うオーソドックスな退魔物RPGとなっている。原作ものではあるが、原作の主人公である八神和麻や神凪綾乃はノンプレイヤーキャラクターとして脇役に回り、プレイヤーの作成したオリジナルの術者が活躍するストーリーが基本となる。

ゲームシステムには『アルシャード』・『アルシャードガイア』・『天羅WAR』で使用されている共通システム「スタンダードRPGシステム」(以下、略称の「SRS」で記述)が使用されており、特に、出版社こそ異なるものの同じ現代物の文庫型RPGである『アルシャードガイア』との間では、変換ルールが基本ルールブックに掲載されるなど、当初から高い互換性の確保が企図されている。

システム

基幹システムにはSRSが採用されており、キャラクターメイキング行為判定はこれに準ずる。

アルシャードなど他のSRS作品との互換性は高い。特に同じ現代物である『アルシャードガイア』とは、購入判定やアイテムなどに多くの共通点を持つ。

キャラクターメイキング

プレイヤーキャラクターは全員が精霊術などの超常能力を持つ術者となる。キャラクタークラスを3つ選択することで、プレイヤーキャラクターのおおまかなアウトラインが決定される。これはSRSの標準のキャラクター作成ルールである。

ただしクラスは、術者の属性を表すトライブクラスと、その生き方や設定などを表すスタイルクラスとに分けられ、トライブクラス1種類と任意(選ばなくてもよい)のスタイルクラスを選択することとなっている。クラスの一覧については風の聖痕RPG#キャラクタークラスを参照。

また、クラスの他にもライフパスによりキャラクターはその経歴を簡易的に設定できる。ライフパスは後述する「コネクション」の取得にも関係する。

行為判定

行為判定は2D6による上方判定、つまり出目が大きいほど良いとする方式が使われている。これはSRSの標準のルールである。

戦闘ルール

SRSプラグインとして「エンゲージ」の概念が実装されている。

また、『風の聖痕RPG』では通常、ヒットポイントが0になっても戦闘不能になり行動が不能になるだけで即死はしない。この戦闘不能状態は戦闘終了時になれば自動的に回復する他、アイテムや特技でも回復ができる。

ただし、この戦闘不能状態で敵が殺意をもって「止めを刺す」と宣言すればキャラクターは死亡する。「止めを刺す」と言う行動は1ラウンドを消費する行動なため、敵を確実に殺すか、とりあえず戦闘不能にしておいて残りの敵を倒すのを優先するかの選択は戦術的に強い意味を持つ。

シナリオの進行

シナリオの進行にはシーン制が採用されている。 また、1回のセッションはオープニング、ミドル、クライマックス、エンディングの4つのフェイズに分けられ、1回のセッションで1本のシナリオを確実に消化することを目指す仕組みになっている。これはSRS標準のルールである。

シナリオハンドアウトの概念については基本ルールブックではサポートされていない。

コネクション

「コネクション」とはプレイヤーキャラクターが特定の他者に対して持つ特定の感情をデータとして表したものである。【憎悪:八神和麻】などのように記述する。これはSRS標準のルールではなく『風の聖痕RPG』の独自要素である。

「コネクション」はキャラクターメイキングで選んだライフパスによってNPC3人に対して取得することができる。また、ゲームプレイ(セッション)の開始時に他のプレイヤーキャラクター一人に対して取得する。これらのコネクションはプレイヤーが対象となる他者や感情を任意に決めることができる。

セッション中にはゲームマスター(GM)がプレイヤーキャラクターに対してコネクションを与えることもできる。これはGMがプレイヤーキャラクターの感情を一方的に指定することができるルールであり、GMがシナリオに展開を誘導したいときに便利である。プレイヤーはGMから与えられたコネクションの感情や対象が意に沿わないときはコネクションの受け取りを拒否しても良い。ただし、コネクションは持てば持つほどキャラクター強化に有利に働くため(後述する「絆効果」を参照)、効率性のみで言うならば受け取っておいた方が得である。

このようなコネクションをプレイヤーキャラクターは合計で七つまで取得できる。

絆効果

全てのプレイヤーキャラクターは、取得しているコネクション1つにつき、1回の「絆効果」をいつでも使うことができる。「絆効果」はプレイヤーキャラクターに劇的で有利な状況を作り出す能力のことでいわゆるヒーローポイントの一種である。キャラクターの人間関係の絆が、力を与えるという演出がやりやすくなっている。

1回の「絆効果」を使用するときは、以下の中から具体的な効果の内容を1つ選択すること。

  • 暴走状態になる。1シーンに1回しか選べない効果
  • 自身が行う直後の行為判定のクリティカル値を-3する
  • 自身の行為判定をやり直す
  • ダメージを〈神〉属性に変更し、+5D6する。〈神〉属性になったダメージはほとんどのダメージ軽減効果を無視し、ダメージの移し変えもできなくなる。他人のダメージを強化することもできる
  • ヒットポイント(HP)を全回復する。戦闘不能状態やバッドステータスも回復される。1シナリオにつき1回しか選べない効果

暴走状態

プレイヤーキャラクターは、絆効果を使うことでいつでも(戦闘不能の状態であっても)「暴走状態」になることができる。暴走状態になると以下の特典を得る、

  • 戦闘不能状態が回復する。
  • ヒットポイントが【体力】値以下の場合は【体力】値まで回復する。
  • 特技を使用するときにマジックポイント(MP)などの代償を支払う必要がなくなる。
  • ヒットポイントが通常の手段(特技やアイテムなど)では回復しなくなる。
  • 暴走状態のときにヒットポイントが0になったら戦闘不能にならずに即死する。

これは、アルシャードにおけるブレイクのルールとほぼ同じだが、戦闘不能中に暴走状態になれることと完全にプレイヤーの任意で暴走状態になれることが大きな違いとなっている。

世界設定

原作『風の聖痕』の世界設定をそのまま使うことが基本である。ルールブックには簡単な解説は載っているため原作未読でも最低限の雰囲気はつかめるものの、ゲームマスターに対しては原作の一巻は読んでおくことが推奨されている。

ゴースト・バスターズ・クラブ

篠宮由香里の発案により作られたオカルト事件を調査する聖陵学園の同好会。略称は「GBC」。『風の聖痕RPG』専用の設定であり原作には登場しない。GBCは篠宮由香里のコネの力で警視庁特殊資料整理室神凪家ともある程度の連携が行われている。これらのコネの力で聖陵学園以外にもGBCは作られており、学校ごとのGBC同士のネットワークも構築されている。

GBCの設定は『風の聖痕RPGリプレイ 深淵の水龍』で紹介されている。

キャラクタークラス

  • トライブクラス
    • 炎術師(えんじゅつし) - 物理的破壊力に秀でた精霊術師。原作では、精霊術師最強とも称される。
    • 水術師(すいじゅつし) - 魔法攻撃に秀でた精霊術師。
    • 地術師(ちじゅつし) - 魔法攻撃の他、自己回復能力などにも秀でた精霊術師。
    • 風術師(ふうじゅつし) - 物理攻撃の他、探索や支援などに秀でた精霊術師。
    • イレギュラー - 精霊術師以外の変異能力を持った術者を表す。原作の「警視庁特殊資料整理室」のメンツや陰陽師などが属する。
  • スタイルクラス
    • アデプト - 達人の術者であることをあらわす。成長することで、封印した力などを取り戻しつつあることを表現する。原作での仙術のフレーバーも含まれている。
    • アヴェンジャー - 過去の敗北や挫折を糧に、復仇する者であることをあらわす。原作での八神和麻はここに含まれる
    • イノセント - 無垢ゆえに助力を受け、また助力の手をさしのべる者であることをあらわす。回復特技を持つ。原作での神凪煉はここに含まれる。
    • アーティファクト - 原作における神凪綾乃の神器、炎雷覇のように、強力なアイテムの継承者であることをあらわす。
    • エングレイヴド - 原作における「契約者」(コントラクター)八神和麻のように、世界に一人、数万年に一人といった希少で強大な存在であることをあらわす。
    • ノーブル - 高級な装備、高貴な精神の持ち主であることをあらわす。原作での神凪家の一族などはここに含まれる。

作品一覧

関連項目

外部リンク