風の抄

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。遠枝 (会話 | 投稿記録) による 2011年8月17日 (水) 11:42個人設定で未設定ならUTC)時点の版であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

風の抄』(かぜのしょう)は、古山寛の原作、谷口ジローの作画による日本漫画作品。

概要

正式なタイトルは『柳生秘帖・風の抄 』。『ヤングチャンピオン』(秋田書店)にて、1992年No.6から1992年No.14まで連載された。

江戸時代初期、ようやく固まった徳川幕府を守ろうとする柳生一族と幕府転覆をもくろむ後水尾上皇および徳川頼宣との暗闘を描いている。

あらすじ

大和国の古寺から「風の抄」が何者かによって盗み出された。江戸幕府と徳川宗家を守ろうとする柳生但馬守宗矩は長男・十兵衛三厳に命じて、風の抄を奪還することと事件の黒幕の野望を打ち砕くことを命じる。

登場人物

柳生十兵衛三厳
柳生新影流の名手。父・但馬守宗矩の命を受け、徳川幕府転覆の陰謀を阻止するため、盗み出された「風の抄」を追う。
夜叉麿
後水尾上皇に仕える忍びで八瀬童子の1人。徳川幕府転覆の秘策を記した「風の抄」を盗み出し、柳生一門と戦う。古代の剣のように切っ先が両刃で、(はばき)の部分が長い刀を使う。
後水尾上皇
後醍醐天皇を崇拝し、天皇親政の世を実現するために紀州徳川家加賀前田家長州毛利家薩摩島津家など反徳川幕府の諸侯に檄を飛ばして、幕府転覆を謀ろうとする。
月ノ輪の宮
後水尾上皇の息女。十兵衛がかつて幕府よりの御付武士としてそばにあった女性。109代明正天皇であったが、既に譲位している。
徳川頼宣
徳川家康の10男で紀州和歌山城主。「南海の竜」を自称し、自らが徳川家の正統であるとの自負から江戸幕府に反発し、後水尾上皇と結んで幕府転覆を謀ろうとする。
柳生六丸
十兵衛三厳の腹違いの弟で宗矩の末子。後の列堂義仙(六丸は幼名)。兄とともに幕府転覆の陰謀を阻止するため、奔走する。
柳生但馬守宗矩
徳川将軍家の剣術指南役であり、諸大名家に剣術師範役として送り込まれた柳生一門の総帥。ようやく基礎の固まった徳川幕府を護るため、「風の抄」の奪還を長子・十兵衛に命じる。
勝海舟
旧幕臣であり、江戸城無血開城の功労者。本作品は勝海舟の語る幕府瓦解にまつわる裏話といった形でつづられていく。

単行本

1992年8月発売 ISBN 4-253-10364-2
2004年10月発売 ISBN 4-253-17836-7