防衛庁調達実施本部背任事件

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最高裁判所判例
事件名  背任,事後収賄,加重収賄被告事件
事件番号 平成17(あ)246
平成21年3月16日
判例集  刑集第63巻3号81頁
裁判要旨
 防衛庁調達実施本部副本部長等の職にあった者が,在職中に私企業の幹部から請託を受けて職務上不正な行為をし,その後間もなく防衛庁を退職して上記私企業の関連会社の非常勤の顧問となり顧問料として金員の供与を受けたなどの本件事実関係の下においては,顧問としての実態が全くなかったとはいえないとしても,供与を受けた金員は不正な行為と対価関係があり,事後収賄罪が成立する。
第三小法廷
裁判長 藤田宙靖
陪席裁判官 堀籠幸男那須弘平田原睦夫近藤崇晴
意見
多数意見 全員一致
参照法条
刑法197条の3第3項
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防衛庁調達実施本部背任事件(ぼうえいちょうちょうたつじっしほんぶはいにんじけん)とは、1998年に発覚した防衛庁調達実施本部が起こした背任事件。

概要[編集]

防衛庁調達実施本部の装備品納入をめぐり、本部長と副本部長が結託し、調達価格水増し要求に対する過払い認定と各社の返納に関連して、返納額を恣意的に減額した。その見返りに、職員の天下り先を確保させるなどを官財の癒着が問題視され、本部長と副本部長が東京地方検察庁特別捜査部に逮捕された。本部長は懲役3年執行猶予5年の有罪判決が確定した。副本部長は天下り先で得た顧問料が事後収賄罪に認定されて懲役4年追徴金838万5000円の実刑判決が確定した。NEC元専務らメーカー12人に執行猶予付きの懲役刑が一審で確定した。

当時の額賀福志郎防衛庁長官はこの事件によって参議院本会議で問責決議が可決され、辞任に追い込まれた。

関連項目[編集]