進水式

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日本海軍呉竹(「第四駆逐艦」)若竹型駆逐艦)の進水

進水式(しんすいしき)は、造船において造船台で組み立てられた新造船舶を初めて水に触れさせる作業・儀式のこと。

進水式と同時に船の命名式が行われるのが通例。進水式が終わると、艤装が開始され、それが終了するとようやく竣工し船舶として完成体となる。進水式の場合はそれがたとえ量産型の船舶であっても必ず一隻ごとに催す。

概要

造船台から川に滑り落とす進水式の様子。

進水式には大別して2種類ある。

進水する方法には、造船台に乗ったままドックに水を注入して進水式とする場合と、造船台から進水台を滑り水面に入水する場合がある。このうち、造船台から進水台を滑り水面へと入る進水式の場合、通常 船尾側から水に入る。これは、船首側から進水すると勢いが付きすぎてしまい、場合によっては転覆してしまう恐れがあるためである。

進水式の進行は、まず命名式が行われた後、支綱切断の儀式を行う。この支綱はくす玉シャンパンなどに繋がれており、切断と連動してシャンパンなどが船体に叩きつけられると同時に船名を覆っていた幕が外れ、くす玉が割られ、くす玉本体とその周辺から大量の紙テープ紙吹雪などが舞う中、進水台を滑り(またはドックに注水し)進水となる。

この支綱切断の時に使われる(現在ではハンマー小刀の場合もある)はその艦船ごとに新しく作られる。日本においてはの斧を使用することが多いが、これは日本独自のもので、初めて使われたのは1891年巡洋艦、橋立の進水式であった。銀の斧は古くから悪魔を振り払うといわれている縁起物で、斧の刃の左側に彫られた3本の溝は三貴子(みはしらのうずのみこ:アマテラスツクヨミスサノオ)、右に彫られた4本の溝は四天王を表している。

進水式ではシャンパンなどを船体に叩きつける(日本では日本酒を叩きつける場合もある)が、これは18世紀前半に赤ワインを船体に叩きつけた事が起源とされている。

1811年、当時のイギリス皇太子ジョージ4世が軍艦の進水でその役目を婦人にあてるよう決めたことから、西欧ではこれが伝統として確立した。進水式の際に、船に叩きつける瓶が割れないとその船は不幸になると言われている。

古代ローマでは進水する船を清めるためにワインが使われたほか、バイキング奴隷などを生贄として神にささげて船の進水を祝ったと言われている。

参考文献

  • 世界の艦船』607号(2007年9月号) 特集『軍艦の進水』 - 海人社

脚注


外部リンク