船医

船医（せんい）とは、客船、遠洋航海の漁船、貨物船などに乗船して医療を行う医師のことである。

船上では1人で内科、外科、産婦人科、精神科など、多岐にわたる診療を行う必要があり、幅広い医学知識と経験を有することが期待される。また、船種によっては高い社交性や語学力が要求される場合もある。

2008年現在、客船のクルーズが減少傾向にあることから、船医の職を得ることは難しくなりつつあるという。各国海軍や日本の海上自衛隊の艦艇に乗船する医務官については、通常軍医に分類される。

歴史上著名な船医

• チャールズ・ダーウィン - ビーグル号で世界一周の航海に同行
• ウィリアム・ジャーディン - イギリス東インド会社の船医で豪商。第一次アヘン戦争の開幕に関与。
• ジョージ・パス - イギリス海軍リライアンス号の船医。オーストラリアの探検に参加。バス海峡の命名者。
• ジョン・スティーブン・ハンプトン - 船医、のちに植民地への囚人輸送の責任者を経てオーストラリア総督。
• アーサー・コナン・ドイル - 大学卒業後、アフリカ航路の船医を経験。
• アーチボルト・ジョセフ・クロ―ニン - イギリスの作家。インド航路の船医を経験。他に炭鉱医などの経験もあり。

船医を主人公とした作品

• エッセイ
  • 北杜夫『どくとるマンボウ航海記』新潮文庫、中公文庫、角川文庫など- 遠洋航海の漁船の船医
  • 永井明『あやしい船医、南太平洋をゆく』角川書店 - 貨物船の船医
  • 西丸與一『ドクター西丸 航海記』海事プレス社 - 元横浜市立大学法医学教授、監察医、『法医学教室の午後』の著者として知られる医師、その後客船の船医
  • 田村京子『捕鯨船団 女ドクター南氷洋を行く』集英社文庫 -遠洋航海の漁船の船医
  • 米山公啓『医者を忘れて大航海』幻冬舎文庫 - 客船の船医
• コミック
  • 矢島正雄／菊田洋之『クルーズ　医師山田公平航海誌』小学館/ビッグコミックス