舷窓

舷窓（げんそう、porthole）は、船の船体にある小さな窓で、採光と換気の役目を持つ。一般に丸い窓が多い。"porthole" は "port hole window" の略である。海事関係の言葉だが、装甲車、航空機、自動車（フォード・サンダーバードなど）、宇宙船などの丸窓一般を指すのにも使われる。

船の舷窓は、下層の甲板の湿気を外に逃がし、日光と新鮮な空気を採り入れるという機能がある。また、下層の甲板では閉鎖されていて外界の様子がわかりにくいため、舷窓で少しだけ外の様子を知ることができる。舷窓を閉じると水や風雨が全く入ってこないようにでき、時には日光も遮る。

英語では "side scuttle" とも呼ぶ。

構造

舷窓の構造上、少なくとも2つの部品が必要で、それは通常の窓と同じである。舷窓は円形のガラス板を金属枠で囲み、それを船体にしっかりとはめ込んだものである。時には、さらに金属製の外枠を用意し、ガラスの部品を蝶番でその外枠に取り付けて開閉可能にする。さらに、窓を強力かつ安全に締める金属製の舷窓蓋 (storm cover) を備えた舷窓も多い。舷窓蓋は英語名からわかるように、主に海が荒れている際に窓を保護する役目を持つ。また、下段の寝台に日光が差し込むような時間に眠る際に暗闇を作るのにも活用される。また海軍の艦船でも商船でも、夜陰にまぎれて敵の砲火を避ける際に室内の照明を外に漏らさないようにする役目もあった。蝶番で付けられている舷窓本体と舷窓蓋は船の内側からアクセス可能で、閉じた状態で一般にねじを切ってある仕掛け（これを「回し金 (dogs)」と呼ぶ）で締め付けることができる。木製の古い船では船体がかなり厚いため、舷窓の縁から舷窓本体までがかなり深いのが特徴となっている。

舷窓の直径は、数インチから数フィートまであり、重さも数ポンドから百ポンド以上まで様々である。重さのほとんどはガラスによるもので、2インチ（5cm）ほどの厚さのものがよく使われている。金属部品も非常に重く、青銅、真鍮、鋼、鉄、アルミニウムなどを使い、砂型による鋳造で作ることが多い。海水による腐食に強いことから、特に青銅や真鍮がよく使われる。舷窓は、船体の強度を犠牲にせずに控えめに役目を果たすよう設計される。舷窓は船体の強度を保つため、なるべく頑丈になるよう作られている。

宇宙船の舷窓

宇宙船の舷窓は、熱衝撃によるひびが入らず、急激な温度変化に耐えられるガラスを使わなければならない。国際宇宙ステーションの舷窓はチタンの枠に石英ガラスを嵌め込んだもので、エナメルでコーティングされている。

アポロ宇宙船の舷窓は、宇宙飛行士が乗船する際と下船する際に使うハッチに設置されていた。

潜水艦の舷窓

潜水艦の舷窓は一般にアクリル樹脂でできている。深海潜水艇の場合、舷窓は数インチの厚さに達する。アクリル製の窓は深海の水圧に耐えられるよう円錐形になっている。ただし一般に厚さは一定で皿のようになっている。このため見える範囲が狭まるが、湾曲したガラスによる視界の歪みが起きないようになっている。

参考文献

Title 46 U.S. Code of Federal Regulations Sec. 45.139 - Side scuttles.