私設取引システム

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私設取引システム(PTS:Proprietary Trading System)とは、証券取引所を介さず有価証券を売買することが出来る電子取引システム のことである。日本では、1998年12月の証券取引法の改正で「取引所集中義務」が撤廃され、上場銘柄の取引所外取引が認められたことで、認可業務としての運営が可能となった。 アメリカではATS(Alternative Trading System)もしくはECN(Electronic Communications Network)と呼ばれる私設取引システムが1960年代から広がり、2012年3月の取引量は市場全体の30%を超える水準[要出典]となっている。欧州においても同様に、伝統的な取引所以外での取引割合は30%を超える水準である[要出典]。 日本においては、取引所が注文を受け付けていない夜間取引を中心として様々な証券会社がサービスを提供していたが、SBIジャパンネクスト証券とチャイエックス・ジャパンの提供する2つのみ[要出典]となっており、取引割合は市場全体の5%程度[要出典]の水準に留まっている。

取り巻く環境と課題

金融庁監督指針によると適切な市場間競争が促進されることで、市場全体の業務効率化や取引システムの高度化など投資家の利便性が向上し、国内投資家のみならず海外投資家にとっても魅力的な市場形成に資することが期待されている。

2010年7月に日本証券クリアリング機構 (JSCC) での清算・決済が開始されたことや、2010年10月には空売り注文の取扱が開始されたことなどが契機となり、PTS利用が進むことになった。2011年夏以降には月間売買代金が大阪証券取引所の一部・二部合計を上回るなど近年、着実に利用が進んできているが、東京証券取引所が依然として圧倒的な地位を占めており、海外での利用状況と比較すると日本におけるPTS利用水準は未だ発展途上である[要出典]

利用促進の足かせとなっている要因には法制度面の整備の遅れがあげられる。特に「市場外での5%超の買い付けは公開買い付けを行う」と金商法に規定されていることで、機関投資家の利用が実質的に制限されている。

2012年4月には日本証券業協会のガイドラインが変更され、東京証券取引所など取引所のシステム障害時には、取引所外取引は原則停止せず、運営を継続できることが出来るようになるなど、進展が見られる。株式市場には従来の伝統的な取引や取引所集中義務を前提とした制度が残っている中で、公正な取引の確保や投資家保護は担保しつつも、今後の制度設計・運営を適切に行っていくためのさらなる議論が必要である[要出典]

その他の課題としては、主要な取引参加者である個人投資家の接続手段が限られていることが挙げられる[要出典]。2012年3月時点で個人投資家がPTSを利用する場合には、SBI証券に注文を出すしかなく[要出典]、他の証券会社は個人投資家向けにはPTSへの接続を提供していない。個人投資家の株式売買形態の大半を占めている信用取引がPTSでは行えないことなどが、オンライン証券が積極的に接続しにくい理由となっている[要出典]


日本の主なPTS

ジャパンネクストPTS

SBIジャパンネクスト証券が運営するPTS。略称JNX。2007年8月より開始。当初は夜間取引であったが、2008年10月28日から昼間の取引も開始した。参加証券会社はSBI証券ゴールドマンサックス証券など2012年3月時点で17社。

チャイエックス

チャイエックス・ジャパンが運営するPTS。

ダイワPTS

大和証券が運営するPTS。2011年12月21日をもって終了[1]

kabu.comPTS

カブドットコム証券が運営していたPTS。 2010年10月時点の参加証券会社はカブドットコム証券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券クレディ・スイス証券、UBS証券BNPパリバ証券、シティグループ証券モルガン・スタンレーMUFG証券、メリルリンチ日本証券、インスティネット証券、JPモルガン証券[2]。2011年10月31日をもって終了した[3]

マネックスナイター

マネックス証券が運営していたPTS。2011年12月8日をもってサービスを終了した。

松井証券即時決済取引

松井証券が運営していたPTS。現在は夜間取引サービスを終了。

脚注

外部リンク