手袋を買いに

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ファイル:Buying Mitten.jpg
新美南吉記念館童話の森に建つ「手袋を買いに」のモニュメント

手袋を買いに』(てぶくろをかいに)は新美南吉作の児童文学。南吉の生前に計画され、死の直後に刊行された童話集「牛をつないだ椿の木」(1943年)に収載された。

手袋を買いに人間の町に行く子狐の物語。冒頭部分の雪の朝の場面は清冽。全編にちりばめられた様々な光の描写が美しく印象的な作品。

登場人物

子狐
母さん狐
子供の頃、友達が町で家鴨を盗もうとしてみつかり、友達と共に死ぬ思いで逃げ帰ったという経験を持つ。
帽子屋

注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。


あらすじ

の朝、表を走り回って帰ってきた子の冷え切った手を握りながら、母さん狐は手袋を買ってやろうと思いついた。夜になって町に出かける途中で、母さん狐は子狐の片手を握って人間の子供の手に変えた。そして子狐に、町の帽子屋へ行って戸を少しだけ開けたら、人間の方の手を出して「手袋をください」と言うように、と教えた。間違って狐の手を出してしまうとひどい目に遭うからと。子狐は町に着くと帽子屋を見つけ戸を叩いた。帽子屋が戸を開けた拍子に差し込んだ光がまぶしくて、子狐はつい狐の方の手を出して、「手袋をください」と言ってしまった。帽子屋は、狐だなと思ったけれども出されたお金が本物であることを確認すると黙って手袋を渡してやった。帰り道、家の中から聞こえる子守歌を聴きながら帰った子狐は母さん狐に「人間ってちっとも恐かない」と、間違った手を出したけれど帽子屋は手袋を売ってくれたことを話した。母さん狐はあきれながら、「ほんとうに人間はいいものかしら」とつぶやいて物語は終わる。

関連図書

外部リンク