忌避

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Louperibot (会話 | 投稿記録) による 2011年9月2日 (金) 02:46個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (r2.5.2) (ロボットによる 追加: it:Voir dire)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

忌避(きひ)とは、広い意味ではあるものや事柄について嫌って避けることである。日本の法律においては、除斥事由には該当しないが、手続の公正さを失わせる恐れのある者を、申立てに基づいてその手続に関する職務執行から排除すること。

典型的なのが、裁判における裁判官の忌避であるが、裁判官以外にも、裁判所書記官鑑定人通訳人仲裁人審判官などについても忌避の規定がある。

なお、手続の適正を図るために、一定の者を職務執行から排除する類似の制度として、除斥回避がある。

裁判官の忌避

刑事訴訟における忌避

  • 刑事訴訟法第21条1項は、裁判官が職務の執行から除斥されるべきとき、又は不公平な裁判をする虞があるときは、検察官又は被告人が、忌避することができる旨規定する。
  • 刑事訴訟法第21条2項は、弁護人が、被告人のため忌避の申立をすることができる旨規定する。
  • 刑事訴訟法第24条は、訴訟を遅延させる目的のみでなされたことが明らかな忌避の申立ては、当該裁判官自身が当該申立を却下しうるとして簡易却下手続を定めている。

民事訴訟における忌避

  • 民事訴訟法第24条1項は、裁判官について裁判の公正を妨げるべき事情があるとき、当事者が、その裁判官を忌避することができる旨規定する。
  • 民事訴訟法第26条は、忌避の申立てがあったときは、その申立てについての決定が確定するまで訴訟手続を停止しなければならないと規定する。
  • 口頭弁論終結後に忌避が申立てられたにもかかわらず、訴訟手続を停止せず、判決が言い渡された場合、当該忌避申立ては判決によって当然に理由を失う。他方で、当該判決は瑕疵あるものとして無効になり、これは上訴理由になるが、上訴審において、忌避の理由がないと認められれば、当該瑕疵は治癒される(大審院昭和5年8月2日民集9巻759号)。

裁判官以外の忌避

陪審制の裁判においては、偏った判断を行うおそれのある陪審員候補者に対する忌避 (challenge) の制度がある。詳細は陪審員の選任参照。

関連項目