後方乱気流
後方乱気流(こうほうらんきりゅう、ウェイク・タービュランス,wake turbulence)は、航空機の運航によって引き起こされる乱気流のことである。
翼の上下面の圧力差によってその背後に発生する気流の渦(翼端渦)や、ジェットエンジンのブラスト、ヘリコプターのダウンウォッシュなどがある。
翼端渦の概要
翼上面の気圧が翼下面の気圧より低いため、翼端では下面から上面に回り込もうとする渦流が発生する。飛行機が進行するにしたがってこの渦流が後方に残り、右翼端からは反時計回りの、左翼端からは時計回りの渦が発生する。 渦の大きさは航空機の重さ、速度、翼の形などによって異なる。機体が重く、低速であるほど大きな渦が発生する。
発生後数分間持続し、時間が経過するとともにゆっくりと降下していく。さらに風に流されたり、降りてきた渦が地面でバウンドしたりする。通常は目視できないため、大型機のすぐ後を飛行または離着陸する小型機は注意を要する。このため、先行機と後続機との重量に応じて、最低管制間隔を通常より大きく設けたり、無線通信により注意を促すなどの対策が採られている。
後方乱気流を観測する手段としてレーザードップラー・レーダーで気流の密度の違いに基づく屈折率の変化から観測する方法がある。[1][2]
事故例
後方乱気流が引き金となり大きな航空機事故が生じた例としては、アメリカン航空587便がある。2001年11月12日、ニューヨークジョン・F・ケネディ国際空港発アメリカン航空587便サントドミンゴ行き(エアバスA300)は、離陸直後に墜落、乗員乗客260人全員と地上の住民5人が死亡という、同空港最悪の事故(米国内でも最悪級の事故)となった。
詳細はアメリカン航空587便墜落事故を参照。