弦楽四重奏曲第6番 (シューベルト)

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弦楽四重奏曲第6番 ニ長調 D74は、フランツ・シューベルトが作曲した6番目の弦楽四重奏曲

概要

1813年8月22日に作曲され、第1楽章は既に9月3日に終了しており、全体は同じ9月に完成した。しかしシューベルトは満足せず、簡略化したり短縮をするなどの補筆を行っている。のちに父親の聖名祝日である10月4日にこの弦楽四重奏曲を捧げている。だが、それにも関わらず、1824年になってからも兄のフェルディナントがこの作品を家庭の集いで演奏しているのに対して、シューベルトは大して価値のある作品ではないと述べたことがある。そして楽譜を出版する機会があったものの、出版を積極的にすすめなかったという。

前作の第5番ベートーヴェンへの傾斜を見せたシューベルトは、第6番ではモーツァルトの方に接近している。第1楽章はオペラ魔笛』の序曲の終結部分を参考にしており、第4楽章は交響曲第31番『パリ』と関連している。しかし、第1楽章が他の3つの楽章に比べて長大であり、楽章のバランスという点では、配慮が行き届いているとはいえない。このこともシューベルトを満足させなかったと思われる。

構成

4楽章の構成で、演奏時間は約22分。

第1楽章 アレグロ・マ・ノン・トロッポ

 ニ長調ソナタ形式による長大な楽章。

第2楽章 アンダンテ

 ト長調三部形式。半音階を置いた楽章で、中間部を展開部のようにしている。

第3楽章 メヌエット.アレグロ

 ニ長調。同じく半音階的な書法が置かれている。トリオはニ長調である。

第4楽章 アレグロ

 ニ長調、ソナタ形式。陽気で軽快な楽章である。

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