帯解黄金塚古墳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

これはこのページの過去の版です。Saigen Jiro (会話 | 投稿記録) による 2022年9月22日 (木) 01:40個人設定で未設定ならUTC)時点の版 (「主体部」除去。)であり、現在の版とは大きく異なる場合があります。

帯解黄金塚古墳
所在地 奈良県奈良市田中町
位置 北緯34度38分17.18秒 東経135度50分24.40秒 / 北緯34.6381056度 東経135.8401111度 / 34.6381056; 135.8401111座標: 北緯34度38分17.18秒 東経135度50分24.40秒 / 北緯34.6381056度 東経135.8401111度 / 34.6381056; 135.8401111
形状 方墳
規模 一辺30m
埋葬施設 磚積式横穴式石室
出土品 須恵器
築造時期 7世紀中葉
被葬者宮内庁推定)舎人親王
陵墓 宮内庁治定「黄金塚陵墓参考地」
地図
帯解黄金塚 古墳の位置(奈良市内)
帯解黄金塚 古墳
帯解黄金塚
古墳
テンプレートを表示

帯解黄金塚古墳(おびとけこがねづかこふん)は、奈良県奈良市田中町にある古墳。形状は方墳

実際の被葬者は明らかでないが、宮内庁により「黄金塚陵墓参考地」(被葬候補者:第40代天武天皇皇子崇道尽敬皇帝舎人親王)として陵墓参考地に治定されている。

概要

奈良盆地東部、大和高原西麓の菩提仙川北側に築造された古墳である。1890年明治23年)に石室が発見され、1951年昭和26年)以降に調査が実施されている。

墳形は方形で、一辺約30メートルを測る(墳丘裾検出を踏まえた2011年度報告値、現地表上27メートル)[1]。墳丘は2段築成[1]。墳丘裾周囲には石列・石敷が巡らされており、その外側の東・西・北にはコ字状の外堤が構築され、外堤を含めた古墳全体としては東西約120メートル・南北約65メートルにおよぶ。また東外堤上には石棺(田中古墳)が認められる[2]。埋葬施設は磚積式の横穴式石室で、南方向に開口する。石室全長12.47メートル(推定復元約13-16メートル)を測る大型石室で、玄室・前室・墓室状区画・羨道からなる複室構造の石室である。石材にはレンガ状の流紋岩質溶結凝灰岩(榛原石)が使用され、奈良盆地北部では唯一の例になる。石室内の副葬品は詳らかでないが、墳丘周囲の石敷から須恵器が検出されている。

この帯解黄金塚古墳は、古墳時代終末期7世紀中葉(飛鳥I-II段階)頃の築造と推定される[1]。類例のない内部構造・外装施設を備える点で特異な古墳であり、特に墳丘裾の石敷は飛鳥時代の宮殿跡・寺院跡の遺構と似る点で注目される。実際の被葬者は明らかでないが、かつて第20代天武天皇皇子舎人親王天平7年(735年)死去)の墓とする伝承があり、現在では宮内庁により陵墓参考地に治定されている。

来歴

  • 1890年明治23年)、墳丘開墾の際に石室の発見[1]
  • 1890年(明治23年)、宮内省(当時)により御陵墓伝説地(現在は陵墓参考地)に治定[1]
  • 1951年昭和26年)、墳丘・石室実測調査(日本考古学協会、報告なし)[1]
  • 1958年(昭和33年)、墳丘・石室実測調査(宮内庁書陵部、報告なし)[1]
  • 2004年度(平成16年度)、市道拡幅計画に伴う範囲確認調査(宮内庁書陵部、2006年に報告)[3]
  • 2005-2006年度(平成17-18年度)、墳丘・石室実測調査(宮内庁書陵部、2008年に報告)[2]
  • 2007年度(平成19年度)、水道管敷設工事に伴う調査・墳丘周辺測量調査:市第1次(奈良市教育委員会、2011年に報告)[1]
  • 2008年度(平成20年度)、範囲確認調査:市第2次(奈良市教育委員会、2011年に報告)[1]

埋葬施設

埋葬施設としては磚積式の横穴式石室が構築されており、南方向に開口する。玄室・前室・墓室状区画・羨道から構成される複室構造の石室である。石室の規模は次の通り[2]

  • 石室全長:現存12.47メートル(推定復元約13-16メートル)
  • 玄室:長さ3.31メートル、幅2.95メートル
  • 前室:長さ2.9-2.95メートル、幅1.87-1.9メートル
  • 墓室状区画:長さ2.88-2.89メートル、幅1.59-1.6メートル
  • 羨道:現存2.3メートル

石室の石材はレンガ状の流紋岩質溶結凝灰岩(榛原石)で、全面に漆喰が塗布される。

脚注

参考文献

(記事執筆に使用した文献)

  • 宮内庁書陵部発行
    • 『書陵部紀要 第57号』宮内庁書陵部、2006年。 
      • 「黄金塚陵墓参考地石室前面部の事前調査」、「黄金塚陵墓参考地の石材の石種とその採石地」。
    • 『書陵部紀要 第59号』宮内庁書陵部、2008年。 
      • 「黄金塚陵墓参考地墳丘および石室内現況調査報告」、「黄金塚陵墓参考地石室内の漆喰の材料について」。
  • 地方自治体発行
    • 帯解黄金塚古墳』奈良市教育委員会、2009年。  - リンクは奈良文化財研究所「全国遺跡報告総覧」。
    • 奈良市埋蔵文化財調査センター 編「帯解黄金塚古墳の調査 第1・2次」『奈良市埋蔵文化財調査年報 平成20(2008)年度』奈良市教育委員会、2011年。  - リンクは奈良文化財研究所「全国遺跡報告総覧」。
  • 事典類
    • 「黄金塚古墳」『日本歴史地名大系 30 奈良県の地名』平凡社、1981年。ISBN 4582490301 
    • 原田道雄「黄金塚古墳 > 帯解黄金塚古墳」『日本古墳大辞典東京堂出版、1989年。ISBN 4490102607 

関連項目