山海塾

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山海塾(さんかいじゅく)は、1975年に設立された天児牛大(あまがつ うしお)主宰の舞踏グループ。
日本国外での評価が高く、世界のコンテンポラリーダンスの最高峰である パリ市立劇場(Theatre de la Ville, Paris)を拠点として、およそ2年に一度のペースで新しい作品を発表し続けている。1980年に海外公演を開始して以来、世界43カ国のべ700都市以上で公演を行っている。

概要

1975年に主宰・天児牛大によって創設。設立当時天児は麿赤児率いる大駱駝艦のメンバーでもあり、大駱駝艦舞踏山海塾というグループ名で公演を行っていた。
1977年、旗揚げ公演『アマガツ頌』。 1978年、記念碑的作品となる『金柑少年』 を日本消防会館にて初演、その後2年間、日本国内で学園祭(筑波大学、同志社大学)などを中心とする国内ツアーをスタート。 1979年、野外作品:『処理場』を発表。この時期からワールドツアーの準備を開始。
1980年4月 パリ、フォーラム・デ・アールでの野外イベントを皮切りにワールドツアーをスタート。
劇場公演『金柑少年』のヨーロッパ大陸初演はナンシー国際演劇祭からスタート、初年度は一年間で5カ国34都市115公演を行い、観客動員は3万人を超えた。
1982年 作品『縄文頌』以降、パリ市立劇場と山海塾の共同プロデュ-スという形で初演が行われるようになる。

2010年 新作『から・み』はパリ市立劇場全8公演が初日前に完売するなど、30年たった2010年現在でもパリ市民から支持を得ている。

作品歴

  • アマガツ頌(1977)
  • 金柑少年(1978)
  • 処理場(1979)
  • 漠紀(1981) 初演:アヴィニョン・フェスティバル
  • 縄文頌(1982) 共同プロデュース:パリ市立劇場
  • 熱の型(1983) 共同プロデュース:パリ市立劇場
  • 卵を立てることから―卵熱 (1986) 共同プロデュース:パリ市立劇場
  • 闇に沈む静寂―しじま (1988) 共同プロデュース:パリ市立劇場
  • そっと触れられた表面―おもて (1991) 共同プロデュース:パリ市立劇場/銀座セゾン劇場 (現在はツアー作品の中には入っていない)
  • 常に揺れている場のなかで―ゆらぎ (1993) 共同プロデュース:パリ市立劇場/銀座セゾン劇場/フランス国立現代舞踊センタ-・アンジェ
  • ゆるやかな振動と動揺のうちに―ひよめき (1995) 共同プロデュース:パリ市立劇場 共同プロデュース:パリ市立劇場/銀座セゾン劇場/サンカンタン・アン・イブリンヌ国立劇場、協力:フランス国立現代舞踊センタ-・アンジェ
  • 遥か彼方からの―ひびき (1998)  共同プロデュース:パリ市立劇場/アイオワ大学ハンチャーオーディトリアム/財団法人びわ湖ホール、協力:フランス国立現代舞踊センタ-・アンジェ
  • かがみの隠喩の彼方へ―かげみ (2000) 共同プロデュース:パリ市立劇場/財団法人びわ湖ホール、協力:フランス国立現代舞踊センタ-・アンジェ
  • 仮想の庭―うつり (2003) 共同プロデュース:パリ市立劇場/財団法人びわ湖ホール、協力:フランス国立現代舞踊センタ-・アンジェ
  • 時のなかの時―とき (2005) 共同プロデュース:パリ市立劇場/北九州芸術劇場
  • 金柑少年 (リクリエーション:2005、初演:1978) かつて天児牛大が踊ったソロパートを若手3人が分担し、天児自身は踊り手として出演しない。
  • 降りくるもののなかで―とばり (2008) 共同プロデュース:パリ市立劇場/北九州芸術劇場/山海塾
  • UTSUSHI (2008) 過去の諸作品の群舞パートをもとにしたコラージュ作。初演:シャトーヴァロン(フランス)。天児牛大は踊り手として出演しない。
  • 二つの流れ-から・み (2010) 共同プロデュース:パリ市立劇場/北九州芸術劇場

受賞歴

  • 1982年、ミュンヘンフェスティバルにて、TZ新聞社よりローズ賞を受賞(演目『金柑少年』)。
  • 1982年、ベオグラード演劇フェスティバルにおいてグランプリを受賞(演目『金柑少年』)。
  • 1995年、外務大臣表彰(山海塾)。
  • 2001年、第33回舞踊批評家協会賞を受賞。「新作『かがみの隠喩の彼方へーかげみ』を含む6作品の一挙上演を行い、舞踏による表現の奥行きの深さを示した成果」への授与。
  • 2002年、ローレンス・オリヴィエ賞最優秀新作ダンス作品賞(Laurence Olivier Award for Best New Dance Production)を受賞。2001年5月にロンドン、サドラーズ・ウェルズ劇場(Sadler's Wells Theatre)で上演した『遥か彼方からの―ひびき』への授与。
  • 2007年、『時のなかの時―とき』が朝日舞台芸術賞グランプリ、および、キリンダンスサポートを受賞。

映像作品

写真集

  • 撮影・Guy Delahaye「SANKAI JUKU」2000年、Actes Sud社 [1]

文献・写真集・その他資料

  • 写真集 "Sankai Juku" 写真:Guy Delahaye 、Actes Sud 社、2000年
  • 「データブック 山海塾2001 創立25周年記念オリジナルミニパンフレット」2001年、山海塾
  • 「山海塾 ホワイトプログラム 2006」2006年、山海塾。カラーパンフレット。
  • 『オピネルと孔雀の日 山海塾初めてのワールドツアードキュメントストーリー』吉川洋一郎/幻冬舎ルネッサンス 筑波大学在籍中より山海塾全作品の音楽制作にかかわってきた著者が、最初の海外ツアーを回想。

テレビ等による放映、ドキュメンタリーなど

  • ドキュメント『山海塾』(60分)フランス国営放送(チャンネル2)にて、83年11月放映。その他イギリスBBC及びチャンネル4、ポーランド国営放送、ドイツ国営放送、オランダ国営放送、イスラエル国営放送、ユーゴスラビア国営放送ほか。
  • 1984年『縄文頌』NHK芸術劇場にて放映。
  • 1987年『卵を立てることから』NHK芸術劇場にて放映。
  • 1986年、ヴィデオテック・ド・パリにて、『卵を立てることから』放映

その他

過去には(1985年)、アメリカシアトル公演中に、設立以来の主要メンバーであった高田悦志が空中でのパフォーマンス中に、ビルの6階(約20m)から落下し死亡するという事故が起きたことがある。

外部リンク