古筝
古筝(こそう、グーチェン、あるいは単に筝[1]、拼音: )は中国の伝統的なツィター属の撥弦楽器である。弦の本数は21本のものが代表的で、15から25本のものが存在する。金属弦を用い、右手の指にはめた義爪で弦をはじいて演奏する。秦の時代に、より古い楽器である琴(きん、こと)や瑟(しつ)から発展したとされている。
起源
筝の起源は不明であるが、秦王朝の時代の発祥といわれている。その起源についてはいくつかの伝説がある。人口に膾炙している伝説のひとつは秦の将軍である蒙恬が造ったというものである。また、秦の宮廷にある25弦の瑟を姉妹で争い、13弦と姉に12弦を妹に分けたという伝説もある。どちらの説もあくまでも伝説であり史実ではないとされている。後者は、「竹」でできた瑟を「争」ったため、「筝」の字の原型となったというものであるが、当時の瑟は25弦ではなく、後年のこじつけであろう。伝説ではない有力な説のひとつは、インドや西アジア、メソポタミアから伝播したものが中国風に改良されたものだとする説である。
各国への伝播
筝は、他の文化とともに周辺の国々へと伝播し、日本の箏、モンゴルのヤトガ、ベトナムのダン・バウ、朝鮮の伽耶琴などの租型となった。日本には、8世紀に雅楽とともに伝わった。
楽器の改変
中国の筝は年代を経るごとに改変が加えられてきた。12弦、あるいは13弦のものが15弦、16弦となり、やがて、18、21、25弦のものが演奏されるようになった。それ以上の本数の弦を持つ筝も作られたことがある。弦も、もとは絹の弦を使用していたが金属弦を使用するようになった。楽器の形も運搬の利便などの理由から大胆な小型化がはかられている。中国においてダイナミックな楽器の改変が行われた結果、古い時代に周辺諸国へ伝播し継承された楽器のほうが、古いかたちを残している場合がある[2]。
代表的な演奏家
注釈
- ^ 日本では「争」部を避け「箏」の字が一般的に使用されるが、中国の古筝では「筝」の字を使用する。
- ^ 小泉文夫 著、柘植元一 編『小泉文夫 民族音楽の世界』日本放送出版協会。ISBN 9784140084458。