労働金庫
労働金庫(ろうどうきんこ、略称:労金/ろうきん、英:Labour Bank/Worker's Credit Union)とは、日本において預金の受け入れ、資金の移動や貸し出し(融資、ローン)、手形の発行などを行う金融機関の一つであり、その根拠となる労働金庫法に基づく業務を実施している。手形・小切手法の適用においては、銀行と同視される。
概説
基本的には労働組合(労組)や生活協同組合(生協)などが会員となる非営利組織(協同組織)であり、株式会社である銀行とは組織形態が異なる。また、同様に協同組織形態をとる信用金庫は、会員の対象を営業地域内としているが、会員の構成は異なる。
利用対象は、会員である各組合等および一般勤労者で、労働金庫の営業の地域に所在、居住しているか、在勤している場合となる。制度の当初は会員である各組合等またはその構成員であることが取引の条件となっていたが逐次緩和され、通常は構成員でない勤労者も個人として会員となることができる。また、一般に預金積金や為替等の取引は、非会員も利用することができる。
ローンについては与信の都合で所属団体の確認を必要としており、ここが他の金融機関と違う点であるが、会員としての有利な点が多い。
財形貯蓄に関しては一般の金融機関と同様勤労者財産形成促進法に基づき取扱っており、勤務している会社との事務取扱いが整えば、その企業に勤務する従業員等誰でも口座をもつことができる。
日本各地の労働金庫は、社団法人全国労働金庫協会(労金協/ろうきん協会・英:National Association of Labour Banks)を構成する。
労働金庫連合会(労金連・英:The Rokinren Bank)は、労働金庫の系統中央機関=中央金庫として、業態を代表した資金決済や労働金庫内国為替制度などの運用を行っている。
システム投資の固定費用負担や、都道府県ごとの労働人口や組織基盤の疎密に対応するため、近畿労働金庫を皮切りに、東北・中央・東海・北陸・中国・四国・九州地区で地域単位の広域合併が行われた。
マスコットキャラクターは1996年に制定された「ロッキー」(「ろうきん」と「Lucky」を掛け合わせた名前の青い鳥)を日本各地の労働金庫共通で使用。イメージモデルは2003年より高垣麗子を起用している。
勘定系システム
富士通のホストマシンを使用し、労働金庫が自前開発した13の労働金庫統一システムであり、「ユニティシステム」と呼ばれる。なお、ユニティシステムの開発・運用・保守は、労働金庫連合会(労働金庫総合事務センター)が行っている。営業店システムはNTTデータの製品を使用。
なお、業態の次世代システムとしてBeSTAを活用した基幹系システムを導入予定。
窓口・ATMでの取引
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全国の労働金庫の窓口・ATMでは、他の労金の通帳でも入出金、通帳記入・通帳繰越の取引が可能である。また、労働金庫の設置するATM(労金以外が幹事行となる共同店舗は除く)でも稼動する全時間帯とも無手数料で入出金が利用可能である。
これまで、全国統一システムに移行していなかった新潟県労働金庫と静岡県労働金庫の全ての預金口座については、他労金の窓口・ATMにおける通帳利用、キャッシュカードによる他労金ATMでの振込、土曜休日のATM入金などができなかったが、2007年1月4日の新システム移行後にはこれらの制限が解消されたため(それぞれ両金庫の移行前の通帳は強制繰越の対象となる。また新潟県労金はこれにあわせて口座番号変更も行われた)、移行後は他地域同様、全国統一のサービスを受けられるようになった。
またコンビニATMのセブン銀行と提携しており、毎日朝7時から夜7時の間の出金と毎日朝7時から夜11時の間の入金は手数料なしで利用可能。ただし、東北労働金庫利用者は、毎日19:00~23:00の間の出金時の手数料キャッシュバック(利用日の翌月15日付)が無条件で受けられるため、実質無料となる。中央労働金庫でも東北労働金庫とほぼ同様にキャッシュバックサービスを行っている。但し普通預金口座のキャッシュカードとカードローンのマイプランを利用している預金者に限定しており、1ヶ月に10回までの回数制限付だが、翌月の20日に普通預金口座へ戻入するサービスを行っている。東海労働金庫では全ての普通預金口座を対象に出金時の他行ATM手数料の全額キャッシュバックを行っている。
また、他の労働金庫でも独自に、他行ATM利用時の手数料をキャッシュバックする制度などを実施している。
2008年9月22日からは、イオン銀行との相互提携を一斉に開始し、労金カードの利用可能時間帯はすべて無料で出金出来るようになった(逆にイオン銀行のキャッシュカード・ローンカードを利用する場合も同様)。ただし、同社ATMを利用して労金カードで入金及びカード扱の振込はできない。労金ATMの最大稼働時間である平日8時~21時、土休日9時~19時は全時間帯でイオン銀行のキャッシュカードによる出金手数料は無料である。
今までろうきんのATM(支店内に限る)現金振込を扱っていたが、2006年8月から段階的に停止し、現在では現金振込は一切扱っていない。振込は<ろうきん>のキャッシュカードのみ取扱で、取扱可能時間は平日の午前9時から午後3時までとなっている。
一部の<ろうきん>では通帳を発行しない普通預金口座を扱っている。入出金明細の確認は全てインターネットバンキングを利用する事が必須となっている。
東北労働金庫に限っては、キャッシュカードでの出金において、あすなろNETの提携の関係で平日日中は青森銀行ATMでの手数料が無料で利用ができる。
入金ネット加盟のATMでは毎日終日入金手数料が無料である。ただし一旦手数料が引き落とされるが即時にキャッシュバックされる。
日本の労金一覧
- 北海道労働金庫
- 東北労働金庫 - 青森、岩手、宮城、秋田、山形、福島
- 中央労働金庫 - 茨城、栃木、群馬、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨
- 新潟県労働金庫
- 長野県労働金庫
- 静岡県労働金庫
- 北陸労働金庫 - 富山、石川、福井
- 東海労働金庫 - 岐阜、愛知、三重
- 近畿労働金庫 - 滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山
- 中国労働金庫 - 鳥取、島根、岡山、広島、山口
- 四国労働金庫 - 徳島、香川、愛媛、高知
- 九州労働金庫 - 福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島
- 沖縄県労働金庫 - 沖縄
関連項目
- 労金カードサービス
- 日本労働組合総連合会(連合)
- 日本生活協同組合連合会(日生協)
- 全国労働者共済生活協同組合連合会(全労済)
- 日本勤労者住宅協会(勤住協)
- 勤労者財産形成貯蓄制度