剣の舞

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剣の舞』(つるぎのまい、ロシア語:Танец с саблями)は、1942年に作曲されたアラム・ハチャトゥリアンバレエガイーヌ』の最終幕で用いられる楽曲である。この楽曲は、クルド人が剣を持って舞う戦いの踊りを表している。

エピソード

作曲者ハチャトゥリアンが『ガイーヌ』を制作した当初、この曲は含まれていなかった。しかし初演前日になって「クルド人が剣を持って戦いの踊りを踊る」場面が追加されることになり、ハチャトゥリアンは急遽その場面のための曲を作曲する必要に迫られた。そして彼は踊りにふさわしいリズムを机を叩きながら徹夜で考案した末に現在の曲で使用されているリズムを閃き、一挙に曲を作り上げたと伝えられている。

この曲は彼の名を後世に残すことに大きく貢献したが、あまりにも曲だけが有名になってしまったため、本人にとっては複雑な心境だったらしい。ハチャトゥリアンの弟子の寺原伸夫は、「ミスター剣の舞」と呼ばれてむっとしていたり、「こうなると知っていたらこの曲は書かなかったよ」とぼやくハチャトゥリアンの姿を証言している。

曲調

この音楽は野性的で精力的であるが、これは東洋諸民族の音楽語法を積極的に採用していて、その中でもハチャトゥリアンの祖国アルメニアグルジアレズギの民族の影響と言われている。さらに伝統的な西洋のオーケストレーションを採用することで、強烈なインパクトを出すことが出来たのである。

アレンジ

ジョルジュ・シフラピアノ用の編曲を行っている。左手の跳躍などを駆使したこの曲は難度が極めて高い。

昭和50年代に作詞・なかにし礼、曲構成・いずみたく、歌唱・尾藤イサオ&ドーンにより歌謡曲としてカバーされた。同曲は2004年6月16日発売の「伊集院光選曲 おバ歌謡」にも収録されている。

チープ・トリックのアルバム『蒼い衝動』(1994年)の日本盤CDに、ロック・バンド編成の編曲によるカバーが収録された。