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公認会計士 (日本)

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公認会計士
英名 Certified Public Accountant
実施国 日本の旗 日本
資格種類 国家試験
試験形式 公認会計士試験
認定団体 金融庁
認定開始年月日 1948年(昭和23年)
等級・称号 公認会計士
根拠法令 公認会計士法
ウィキプロジェクト ウィキプロジェクト 資格
ウィキポータル ウィキポータル 資格
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日本における公認会計士(こうにんかいけいし)とは、公認会計士名簿に登録し(公認会計士法17条)、主として、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることを業とする者をいう(2条1項)。単にCPAとも、ISO 3166-1 alpha-2を用いてJPCPAともいう。

資格取得法、試験合格者の待機合格者問題については公認会計士試験を参照。

概要

公認会計士は、監査及び会計の専門家として、独立した立場において、財務書類その他の財務に関する情報の信頼性を確保することにより、会社等の公正な事業活動、投資者及び債権者の保護等を図り、もって国民経済の健全な発展に寄与することを使命としており(1条)、監査対象たる会計主体からの独立性に特徴がある。

なお、公認会計士の独占業務は会計監査 (財務諸表監査など)であり、会計業務自身は誰でもできる自由業務とされる[1]。 会計を監査する立場である以上、会計に精通していることは当然であるが、立場としては正反対であることから、公認会計士という名称は非常に紛らわしいものとなっている。

業務

公認会計士の業務は、監査証明業務、コンサルティング業務、その他の業務に大別される。

監査証明業務

監査証明業務とは、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の監査又は証明をすることである(2条1項)。公認会計士は、独占業務として財務書類の監査・証明業務(通称1項業務)を行える。

コンサルティング業務

コンサルティング業務とは、監査業務の外、公認会計士の名称を用いて、他人の求めに応じ報酬を得て、財務書類の調製をし、財務に関する調査若しくは立案をし、又は財務に関する相談に応ずることである(2条2項)。公認会計士は、財務書類の調整、財務に関する調査・立案、財務に関する相談等の業務(コンサルティング業務)を行うこと(通称2項業務)ができる。但し、監査業務との同時提供については、「自己監査は監査に非ず」の法諺のとおり、他の法律においてその業務を行うことについて様々な制限が設けられている。

その他の業務

公認会計士は、無試験で税理士行政書士登録を受けることができ(税理士法3条4号、行政書士法2条4号)、各団体に登録すれば、それぞれの名をもって各業務を行える。また、付随業務として、司法書士の業務も行えると解されている。[2]

活動領域

従来は、公認会計士のほとんどが監査法人か会計事務所に所属して活動していたが、徐々にその活動領域は広がりつつある[3]

監査法人

公認会計士の資格独占業務である財務諸表監査などを行う。現状では、大半の試験合格者が、数千名の人員を抱えるいわゆる3大監査法人に就職を希望する。

税理士法人・税理士事務所

上述の通り、公認会計士は税理士登録を受けることができるため、税務に関わる者も多い。独立開業する者もいる。

FAS

FAS(財務アドバイザリーサービス)を提供するファームでは、財務デューデリジェンスや事業再生アドバイザリー、不正調査などの分野で会計士が業務に携わることがある。

事業会社

会計業務の複雑化にともない、一般の事業会社においても公認会計士が採用されることが多くなってきた。企業内会計士には、経理部や財務部などの部署において、連結決算業務や原価管理内部統制業務などの専門的な知識が求められる業務に携わることが期待されている。

金融機関

融資業務や事業再生コンサルティングなどにおいて、会計の知識が求められることから、公認会計士が採用される。

官公庁

官公庁における会計監査や複式簿記による企業会計ベースの財務報告の作成に公認会計士が従事することがある。また、警察の刑事部捜査第二課などにおいて会計士が捜査に従事する事例がある。また、公認会計士・監査審査会では公認会計士がレビュー業務などにあたっている。

沿革

  • 1948年 計理士法を廃止する代わりに公布された公認会計士法によって公認会計士制度が確立。当時、企業会計や税務を担当していた計理士のうち、特別試験に合格したものについて計理士業務に加えて監査業務をさらに行うことができる資格として公認会計士資格が計理士資格に替えて与えられた。公認会計士法公布以前は、企業内部の会計監査人が公認会計士と類似した業務を執り行っていたが、独立外部性をより必要としたことから、会計監査人を企業から独立した公認会計士へと限定された。[4]
  • 2006年5月 会社法施行にともない、公認会計士・税理士は会計参与という株式会社の機関のひとつとして、その会社が会計参与を設置する場合は、会社に参加しうることになった。

識見の範囲

日本国によって担保される識見の範囲を把握するためには、公認会計士試験の受験資格、出題基準、合格基準が参考となる。詳細は、公認会計士試験を参照されたい。

外国公認会計士

各国において日本の公認会計士に相当する資格を有する者のうち内閣総理大臣による資格の承認を受け、かつ、日本公認会計士協会による外国公認会計士名簿への登録を受けた者は、外国公認会計士と呼ばれ、公認会計士と同様の業務を行うことができる(16条の2)。

コンバージェンス

公認会計士に相当する職能資格よる監査制度は、証券市場における投資家からの直接金融制度には欠かせない制度であり、多分に共通要素がありながらも、各国における経済諸事象を反映して個々別々に発展している。他方、経済の国際化と情報通信技術の急速な発展に伴い、会計基準と同様に国際的コンバージェンスが課題とされることがある。詳細は、公認会計士制度或いは次に掲げる個々の職能資格を参照されたい。

脚注

  1. ^ (参考文献:第46回国会衆議院大蔵委員会議録第54号、日本税理士会連合会編『新税理士法要説』、自治省行政課矢島孝雄『地方自治』昭和59年9月号)
  2. ^ 昭和25年7月6日民事甲第1867号民事局長回答(法務省民事局長通達)
  3. ^ 広がる公認会計士のフィールド公認会計士・試験合格者の活躍フィールド
  4. ^ 公認会計士監査制度の一本化,邱艶梅,現代社会文化研究,2003-07

関連項目

外部リンク