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低周波

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低周波(ていしゅうは)とは、波動や振動の周波数(振動数)が低い(小さい)こと。または周波数の小さい音波電波交流を指す。

電気工学での低周波

はっきりとした定義はないが、およそ、音声周波数帯域(可聴域 20Hzから20kHz程度)より低い周波数から、音声周波数帯域より少し高い周波数の電気信号を指す。つまり、およそ数十ヘルツ以下の周波数の交流信号のことである。英語の audio frequency に対応する語で、AF と略記する。

しかし、同一の周波数であっても、無線通信の搬送波として使用される場合は高周波と呼ぶのが一般的である。たとえば、10kHzのオーディオ信号は低周波であり、超長波として無線通信に用いられる場合は高周波と呼ぶのが一般的である。

音での低周波

音での低周波の定義として、100 Hz以下は低周波音と呼ばれる。また、20Hz以下は超低周波音と呼ばれる。

電磁界での低周波

低周波電磁界の健康や機器への影響についての研究がされているが、環境電磁工学では低周波電磁界のはっきりとした定義はない。WHOでは100 KHz以下の電磁界を超低周波電磁界としている。日本国の電波法では10KHzを超える電界・磁界が人体に与える強度の値を定めている。

自然科学での低周波

自然科学では低周波地震が知られている。低周波地震は1Hzから2Hz程度の地震のことである(通常の地震は10から20Hz程度)。地震の規模はM1~2程度である。低周波領域の地震は規模に比して震動がゆっくりしているのが特徴で、震動の周期が長いため長周期地震とも呼ばれる。発生地点が浅い場合と深い場合で分類されている(浅部・深部)。火山性の地震の特徴としてもみられる。また、継続時間が長くなってM3~4程度と若干規模が大きくなる超低周波地震も存在する。同じく低周波領域で起こるもので、1秒間に小刻みに揺れる低周波微動や通常の地震によるプレートすべりに比べ遥かに遅い速度(長時間)で滑るゆっくりすべり(スロースリップまたはゆっくり地震とも)、震動の大きさに比して大きな津波が発生する津波地震との関連が指摘されている[1][2]

医療での低周波

リハビリペインクリニックにおいて物理療法として用いられる低周波治療器、あるいは低周波通電療法のことを単に低周波と呼ぶことがある。肌に当てた導子と呼ばれる2個以上の端子の間に、弱いパルス波電流を流す。周波数が1~2Hz程度のトントンという刺激は肩こり、100~150Hz程度のズズーッという刺激は腰痛の治療に用いられる。メーカーによって周波数や波形の設定に特徴があり、1000~2000Hzの周波数帯域で動作する製品もある。周波数が低めで筋肉を刺激するEMSは手軽な痩身法として通販で取り上げられることがあるが、アメリカ連邦取引委員会は「EMSに脂肪を減らす効果はない」との見解を発表している。周波数が高めで神経を刺激するTENSはリハビリ目的で使われている。また目的外の用途として、低周波治療器により刺激を与えたときのリアクションが見た目に面白いという理由でお笑い番組の罰ゲームなどに多用されている。

注釈

  1. ^ スロー地震とは(G-NEToffice)
  2. ^ ゆっくり滑る地震解明=プレート境界で発生-海洋機構など(時事通信 2012年5月7日)

関連項目