ミヤマガマズミ

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ミヤマガマズミ
福島県会津地方 2014年6月
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : キキョウ類 Campanulids
: マツムシソウ目 Dipsacales
: レンプクソウ科 Adoxaceae
: ガマズミ属 Viburnum
: ミヤマガマズミ V. wrightii
学名
Viburnum wrightii Miq. [1]
和名
ミヤマガマズミ
英名
Wright's viburnum

ミヤマガマズミ(深山莢蒾、学名:Viburnum wrightii )は、レンプクソウ科ガマズミ属落葉低木[2][3][4]

古いクロンキスト体系では、ガマズミ属はニワトコ属とともにスイカズラ科に属していた。

特徴

落葉低木。樹高は4mになる。の樹皮は暗い褐色で、若いは緑色で、多くは紫褐色を帯び、毛がないか長い単純毛が生える。は対生し、葉柄は長さ10-20mmになり、ふつう赤みを帯び、伏した長毛が生え、ときに短い束生毛が混じり、上面に溝があり、ふつう托葉はない。葉身は長さ6-14cm、幅4-9cm、形は倒卵形から広倒卵形で、先端は急に細くなってとがり、基部は広いくさび形、円形、鈍形になり、縁には浅い3角形の鋸歯がある。葉の表面はしばしば光沢があり、無毛か脈上にまばらな毛と側脈間に絹毛があり、裏面はごく細かい不明瞭な腺点があり、脈上に長い伏毛が、脈腋に星状毛が生える。側脈は6-9対あり、葉の縁までほぼまっすぐに伸び、表面はわずかにへこみ裏面に突き出る。葉の裏面下部の縁に1-4対の腺点がある[2][3][4]

花期は4月下旬-6月。短い枝の先に、1対の葉とともに径6-10cmになる散房花序をつけ、白色の多数のを密につける。花序軸や小花柄には単純毛か星状毛が散生する。花の下につくは線形で長さ約1cm。はごく小さい短3角形で、上部が5裂する。花冠は車状で上部が5中-深裂して平開して径5-7mmになり、花冠裂片は円く長さ2-2.8mmになる。雄蕊は5個あり、花冠から突き出て、長さ3-4.5mm、葯は長さ0.5mmになる。子房は長さ1.5-2.5mmで、無毛で柱頭はほぼ無柄。果期は8-10月。果実は長さ5-7mmになる球形または卵形の核果で、光沢がある暗赤色に熟す。中に種子1個が入る核は長さ4.5-6.5mm、厚さ1.8-2.5mmになる卵球形で、核の背側に2個、腹側に3個の浅い溝がある[2][3][4]

分布と生育環境

日本では、北海道、本州、四国、九州に分布し、標高30-1400mの丘陵地から山地の樹林内や林縁に生育する。一般に同属のガマズミより高地に生える。国外では、サハリン南部、朝鮮半島、中国大陸に分布する[2][3][4]

ギャラリー

下位分類

  • コミヤマガマズミ Viburnum wrightii Miq. f. minus (Nakai) Sugim.[5]
  • オオミヤマガマズミ Viburnum wrightii Miq. var. stipellatum Nakai[6] - 北海道、本州、四国、九州に分布し、標高30-2000mの山地に生育する。基本種のミヤマガマズミより高地に生え、太平洋側に多い。葉の表面に光沢がなく、表面全体に微小な単純毛が、ときに分岐毛が生える。葉はミヤマガマズミより大きく、鋸歯は明瞭で多数ある。ミヤマガマズミの鋸歯が片側ほぼ15個であるのに対して、本変種の鋸歯は片側25個ある[2][3]

脚注

  1. ^ ミヤマガマズミ,「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  2. ^ a b c d e 『日本の野生植物 木本II』pp.232-233
  3. ^ a b c d e 『樹に咲く花(合弁花・単子葉・裸子植物)山溪ハンディ図鑑5』pp.446-447
  4. ^ a b c d 『新牧野日本植物圖鑑』p.708
  5. ^ コミヤマガマズミ, 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)
  6. ^ オオミヤマガマズミ, 「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

参考文献

  • 佐竹義輔他編『日本の野生植物 木本II』、1989年、平凡社
  • 茂木透、城川四郎他『樹に咲く花(合弁花・単子葉・裸子植物)山溪ハンディ図鑑5』、2001年、山と溪谷社
  • 牧野富太郎原著、大橋広好・邑田仁・岩槻邦男編『新牧野日本植物圖鑑』、2008年、北隆館
  • 大場秀章編著『植物分類表(初版第3刷訂正入)』、2011年、アボック社
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)