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ヒラタニオイガメ

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ヒラタニオイガメ
保全状況評価
VULNERABLE
(IUCN Red List Ver.2.3 (1994))
分類
ドメイン : 真核生物 Eukaryota
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 爬虫綱 Reptilia
: カメ目 Testudines
亜目 : 潜頸亜目 Cryptodira
上科 : ドロガメ上科 Kinosternoidea
: ドロガメ科 Kinosternidae
亜科 : ドロガメ亜科 Kinosterninae
: ニオイガメ属 Sternotherus
: ヒラタニオイガメ S. depressus
学名
Sternotherus depressus
Tinkle & Webb, 1955
シノニム

Sternotherus minor depressus
Wermuth & Mertens, 1961

和名
ヒラタニオイガメ
英名
Flattened musk turtle

ヒラタニオイガメ(平匂亀、Sternotherus depressus)は、動物界脊索動物門爬虫綱カメ目ドロガメ科ニオイガメ属に分類されるカメ。

分布

アメリカ合衆国アラバマ州西部のブラックウォーリアー水系上流域)[1][2][3][4]

形態

最大甲長11.5cmとニオイガメ属のみならずドロガメ科最小種。[2][4]背甲は非常に扁平で、上から見ると俵型。[4]これにより流れの速い水中での抵抗を減らしたり、岩の隙間などに潜りこみやすくなると考えられている。[1][3]和名は扁平な背甲に由来し、英名(flattened=ぺしゃんこになった)とほぼ同義。[1][3]椎甲板肋甲板の後部が、その後ろにある甲板の前部に重なる。[4]背甲の色彩は黄褐色や褐色、暗褐色で、暗褐色や黒い斑点や筋模様が入る。[4]喉甲板がある。[4]腹甲の色彩はピンク色や黄褐色で、甲板の間に露出した皮膚は灰色がかったピンク色。[4]

頭部背面には黒い虫食い模様が入る。[4]頸部には筋状の斑紋が入らないか、あっても極めて細い。[4]

分類

独立種として記載されたもののヒメニオイガメと形態や色彩が類似し、分布域の境目で中間型の個体が見られることからヒメニオイガメの亜種とされていた。[4]しかし近年は形態や酵素電気泳動による分子生物学的解析から、中間型の個体は単に別種に類似した個体やまれに交雑した種間雑種とされた。[4]また両種の分布域が滝によって遮られることから両種の独立性が保たれているとして、別種とする説が有力である。[4]

属内ではヒメニオイガメ(特に亜種スジクビヒメニオイガメ)に最も近縁と考えられている。[4]

生態

底質が岩や砂の渓流、幼体はその周囲にある流れの緩やかな水生植物の繁茂した水場に生息する。[4]夜行性だが、日光浴を行うこともある。[2][4]幼体は主に薄明薄暮性[4]冬季になると水中にある岩の割れ目などで冬眠すると考えられている。[4]

食性は動物食傾向の強い雑食で、主に貝類を食べるが、昆虫甲殻類藻類なども食べる。[2][4]

繁殖形態は卵生。6月に1回に1-2個の卵を産んだ例がある。[2][4]卵は25℃の環境下で45-47日で孵化した例がある。[4]オスは甲長6-6.5cm、メスは甲長7-7.5cmで性成熟するという説もある。[4]

人間との関係

開発による生息地の破壊、水質汚染およびそれによる感染症、採集などにより生息数は激減している。[2][4]アラバマ州では法的に保護の対象とされ採集や飼育は厳重に規制されているが[1][4]、密猟されることもある。[2]

ペットとして飼育されることがあり、日本にも輸入されている。野生個体はアラバマ州で保護されているため、ヨーロッパから飼育下繁殖個体が少数流通する。[1][3]ヒメニオイガメの亜種スジクビニオイガメが本種の名前で販売されたこともある。[4]

関連項目

参考文献

  1. ^ a b c d e 海老沼剛 『爬虫・両生類ビジュアルガイド 水棲ガメ1 アメリカ大陸のミズガメ』、誠文堂新光社2005年、93頁。
  2. ^ a b c d e f g 小原秀雄・浦本昌紀・太田英利・松井正文編著 『動物世界遺産 レッド・データ・アニマルズ1 ユーラシア、北アメリカ』、講談社2000年、222-223頁。
  3. ^ a b c d Go!!Suzuki 「ニオイガメ Muskな生活~魅惑のニオイ~」『クリーパー』第28号、クリーパー社、2005年、22、55-57頁。
  4. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 安川雄一郎 「北米のドロガメ科1 ニオイガメの仲間」『クリーパー』第9号、クリーパー社、2001年、16-20、41頁。

外部リンク