ヒメギフチョウ

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ヒメギフチョウ(姫岐阜蝶・学名 Luehdofia puziloi)は、チョウ目アゲハチョウ科ウスバアゲハ亜科ギフチョウ属に分類されるチョウの一種。日本では本州北海道、その他にはユーラシア大陸東部に分布し、日本では里山に生息するチョウで、成虫は早春に発生する。分布は狭く、更に、生息地は極めて局地的である。近年、里山の放棄、開発などにより個体数の減少が著しい。

ヒメギフチョウ
分類
: 動物界 Animalia
: 節足動物門 Arthropoda
: 昆虫綱 Insecta
: チョウ目(鱗翅目) Lepidoptera
上科 : アゲハチョウ上科 Papilionoidea
: アゲハチョウ科 Papilionidae
亜科 : ウスバアゲハ亜科 Parnassiinae
: ギフチョウ族 Luehdorfiini
: ギフチョウ属 Luehdorfia
: ヒメギフチョウ L.puziloi
学名
Luehdofia puziloi
和名
ヒメギフチョウ

特徴[編集]

成虫の前翅長は3-3.5 cm、開長は4.8-6.5 cmほど。成虫のは黄白色と黒の縦じま模様で、後翅の外側には青や橙、赤色の斑紋が並ぶ。さらに後翅には尾状突起を持つ。オスとメスの外観の差異は少なく、若干メスが大きい。近縁種のギフチョウとよく似ているが、本種は前翅のいちばん外側に並ぶ黄白色の斑紋が、一番上の1つだけが内側にずれていない。また、尾状突起が短く、先が尖っていることなども区別点となる。

下草の少ない落葉広葉樹林に生息し、成虫は年に1度だけ、4月上旬-5月の下旬に発生する。ただし発生時期はその年の残雪の量に左右される。オスはメスよりも1週間ほど早く発生する。カタクリショウジョウバカマスミレ類サクラ類などの花を訪れ吸蜜する。ギフチョウのオスは、交尾の際、特殊な粘液を分泌してメスの腹部の先に塗りつける習性がある。塗りつけられた粘液は固まって板状の交尾嚢になり、メスは2度と交尾できない状態になる。

幼虫食草ウマノスズクサ科ウスバサイシンなどで、もこれらの食草に産みつけられる。卵の直径は1mmほどである。真珠のような卵から孵化した幼虫は黒いケムシ状で、孵化後しばらくは集団生活をして育つ。4回脱皮した終齢幼虫は体長3.5cmほどに成長し、夏には成熟して地表に降り、落ち葉の裏でとなる。蛹の体長はだいたい2cmくらいである。蛹の期間が約10ヶ月と非常に長いのが特徴で、そのまま越冬して春まで蛹で過ごす。

亜種[編集]

ヒメギフチョウはユーラシア大陸東部、日本の本州北部、北海道に分布しているが、いくつかの亜種に分けられている。

タイリクヒメギフチョウ ユーラシア大陸東部に分布している。

ヒメギフチョウ(ナミヒメギフチョウ、ヤマトヒメギフチョウ) 日本に分布し、新潟県などのギフチョウ・ヒメギフチョウ混生地のある分布境界線(ルードルフィアライン、レフドルフィアライン)より北に分布する。

エゾヒメギフチョウ 北海道に分布し、翅の斑紋等の違いで本州亜種とは一般的には分離されているが、研究者によって、分けるか分けないかの考え方の違いがあるとみられる。

メディア[編集]

参考文献[編集]

ギフチョウ

http://www2.pref.iwate.jp/~hp0316/rdb/07konnchuu/0865.html

関連[編集]

ギフチョウ

ウスバシロチョウ 

チョウ