ニスロク

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アッシリアの神としてのニスロク[編集]

ニスロク(Nisroch)は、センナケリブに崇拝されたアッシリアの神である。旧約聖書列王記下第19章37節、イザヤ書第37章38節に名前が登場する。名前の意味は「偉大な鷲の意[1]」であるといわれ、鷲頭を持つ姿とされている。

19世紀にニスロクとされた鷲頭のレリーフ。現在ではグリフィン・デーモンとして知られる[2]

オースティン・ヘンリー・レヤードはカラフ(現在のニムルド)のアッシュル・ナツィルパル2世の宮殿で発掘した鷲頭のレリーフをニスロクと同定したが、この鷲頭の者はセンナケリブの時代には存在しなかったことが知られている[2]

悪魔としてのニスロク[編集]

コラン・ド・プランシーの『地獄の辞典』では、第二級の魔神、ベルゼビュート(ベルゼブブ)の料理長、美味による誘惑と食卓の楽しみの権威者とされている。堕天前のニスロクはエデンの園の禁断の樹の守衛を担当し、得意料理はその果実を使ったものである。[3] ジョン・ミルトンの『失楽園』にも反逆天使として登場し、権天使の長とされている。 また、ニスロクはケモス、バアル=ペオル、メセラク、アラセクと同等視される。[4]

参考文献[編集]

脚注[編集]

  1. ^ グスタフ・デイヴィッドスン『天使辞典』吉永進一訳 創元社 2004年
  2. ^ a b Black, Jeremy A. (1992). Gods, demons, and symbols of ancient Mesopotamia : an illustrated dictionary. Anthony Green, Tessa Rickards, British Museum. London: Published by British Museum Press for the Trustees of the British Museum. p. 143. ISBN 0-7141-1705-6. OCLC 25982217. https://www.worldcat.org/oclc/25982217 
  3. ^ ジョン・ロナー『天使の事典―バビロニアから現代まで』鏡リュウジ訳 柏書房 1994年
  4. ^ グスタフ・デイヴィッドスン『天使辞典』吉永進一訳 創元社 2004年

関連項目[編集]