キリスト教再建主義
キリスト教再建主義、(きりすときょうさいけんしゅぎ、Christian Reconstructionism)とは、クリスチャンが全領域において、改革派に立ったキリスト教信仰を実践するよう求めるプロテスタント、キリスト教の運動である。現代アメリカの道徳的、社会的再建を説く改革運動。単に、「リコンストラクション」と呼ばれることもある。
キリスト教再建主義の5条件
再建主義の5条件は次の通り。
- 第一条件-前提主義、クリスチャンとノン・クリスチャンの間に中立的な中間領域がないというコーネリウス・ヴァン・ティルの信念。これは聖書が自らその真理のシステムと世界観を啓示しており、ノン・クリスチャンが多くなる時、そのシステムは自滅するというものである。
- 第二条件-統治主義(文化命令)
- 第三条件-神法主義(セオノミー)、新約聖書と旧約聖書の原理、道徳律法と司法律法の、一般的な家族、教会、市民政府への適用。
- 第四条件-契約主義
- 第五条件-後千年王国主義、神の国がイエス・キリストの初臨において始まり、それは歴史を通し、キリスト教信仰への回心を通して地全体を満たすまで進むというキリスト教終末論。
特色
キリスト教再建主義の特色は以下のものを含む。カルヴァン主義の社会の変革の前に、必要とされる個人的な再生、最小国家主義。クリスチャン再建主義は、ユダヤ教再建主義、進歩的再建主義、多神教再建主義、またアメリカ南北戦争の後に続いた再建期間とは関係がない。
背景
- アメリカ再生論の提唱でアメリカ国内で注目を集めており、1987年2月20日、クリスチャニティ・トゥディが運動を特集した。
- 旧約時代の神権政治国家としてのイスラエルはアメリカ再建のためにの青写真であると考えて、旧約の律法の全体をできる限り今日に適用させようとする。十戒などの道徳律法、処罰規定、経済的規定、族長時代にならった家庭中心の生活観と教育観、デモクラシーの拒否などを提唱している。
- 律法の具体的な取り扱いをめぐっては、独特なので福音派内部でも議論が起こっている。[3]
主な指導者
- R・J・ラッシュドゥーニーはこの運動の中心人物である、この運動に関した三十冊以上の著者である。「宗教的左翼のシンク・タンク」と呼ばれている。
- また、ゲイリー・ノースという人物も指導的な役割を果たしている。彼は、キリスト教経済研究所を主宰している。
- 日本のこの運動の提唱者としては武蔵野市に所在する三鷹福音教会の米国人ラルフ・A・スミス牧師が有名である。ミレニアムを主宰する富井健師は再建主義の立場から、ハーザー誌上で奥山実牧師と論争した[4]。また救世軍士官の山谷真大尉[5]とも論争があった[6]。
主な文献
- 『聖書律法綱要』ラッシュドゥーニー著 富井健訳 福音総合研究所刊
- 『中絶救助隊』ゲイリー・ノース著 床田亮一訳 暁書房
- 『現代に生きるための旧約律法』グレッグ・バーンセン著 床田亮一訳 アルフォオメガ 聖恵授産所出版部
- The Institute of Biblical Law,1973
- Biblical Blueprint Series,1990
- Tools of Dominion,1990
脚注
- ^ キリスト教再建運動の5条件
- ^ キリスト教再建主義の5特質(詳解)
- ^ 宇田進「クリスチャン・リコンストラクション」『新キリスト教辞典』1991年、376ページ
- ^ ハーザー誌奥山氏論文への反論
- ^ 大尉は論争当時の階級で、現在は少佐
- ^ 救世軍山谷大尉の再建主義論に反論する