カスザメ

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カスザメ
カスザメ
分類
: 動物界 Animalia
: 脊索動物門 Chordata
亜門 : 脊椎動物亜門 Vertebrata
: 軟骨魚綱 Chondrichthyes
亜綱 : 板鰓亜綱 Elasmobranchii
: カスザメ目 Squatiniformes
: カスザメ科 Squatinidae
: カスザメ属 Squatina
: カスザメ S. japonica
学名
Squatina japonica
Bleeker, 1858
英名
Japanese angel shark
カスザメの生息域
海底に潜むカスザメ

カスザメ(糟鮫、学名:Squatina japonica、英名:Japanese angel shark)は、カスザメ目カスザメ科 Squatinidae に属するサメ。またカスザメ科の魚を総称して呼ぶこともある。サメの中でも風変わりな体型をしており、上下に平らで、胸鰭が大きく張り出すのが特徴。ほとんどエイのような格好をしているが、鰓裂が側面に開いていることからサメの仲間であることが分かる。普段は砂の中に潜り、獲物を待ち伏せする。体長2m 。人には危害を加えない。

分布

日本近海からフィリピン周辺海域にかけての温暖な海に生息する。底生性で、沿岸域から大陸棚までの深さの海底で生活する。

形態・生態

体長2.0 ~2.5m、体は上下に著しく扁平である。大きな胸鰭は横に張り出し、2 基の背鰭は小さく後方にまとまっている。尾鰭は下側(下葉)が水平に長く伸び、上側(上葉)はまるで3 基目の背鰭のようにも見える。臀鰭(しりびれ)は無い。口は体の前端にあり、周りに皮弁を備える。

カスザメの体型は生活と密接に関わっている。平たい体は速く泳ぐには適していないが、身を隠すには都合が良い。多くのエイカレイのように、カスザメは平たい体を生かして海底の砂に潜りこみ、大型の捕食者をやり過ごしたり、獲物を待ち伏せたりする。さらに背側は周囲の海底に溶け込むよう、ベージュか灰色の地に黒い斑点が散りばめられた砂地模様である。こういったことから、海中で野生のカスザメを発見するのは容易ではない。また口の位置が他のサメと異なり、体の下ではなく前面に開く。これは砂に潜ったまま、頭上を通る獲物を捕らえることができるからである。カスザメの口は財布のガマ口のように大きく開くことができ、射程距離内に入った獲物を海水ごと吸引して丸呑みにしてしまう。は鋭く尖り、くわえた獲物を逃さないようになっている。

カスザメは昼間はこのような待ち伏せで狩りを行うが、本来は夜行性なので夜になると餌を求めて活発に動き回る。餌は甲殻類軟体類である。

人との関わり

気性は穏やかで、人を襲うことはない。ただし、無闇に手を出せば反撃を食らう可能性はある。大きいものは人の背丈ほどもあり、口も大きいので注意が必要である。水産上は重要でない。しかし、古くからカスザメの皮はさまざまなものに利用されてきた。カスザメの皮もむろんサメ肌であり、その表面はザラザラしている。刀剣の柄に巻いてすべりを防いだというのは有名である。その他、やすりなどにも使われる。

近縁種

コロザメ Squatina nebulosa (英名:Clouded angel shark

カスザメの仲間で日本近海に生息するのは、カスザメとコロザメの2 種のみ。外見はほとんど同じであるが、胸鰭の先端の角度がコロザメの方がやや大きい。

分類

カスザメ目 Squatiniformes は、カスザメ科 Squatinidae カスザメ属 Squatina の1 科1 属のみ。16 種を含む。

関連項目