オスラジン

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オスラジン
識別情報
CAS登録番号 33650-66-7
PubChem 441890
日化辞番号 J37.126B
特性
化学式 C45H74O17
モル質量 887.06 g mol−1
外観 白色結晶[1]
融点

202-204 °C[1]

への溶解度 に若干溶解[2] エタノールに溶解[1]
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

オスラジン (osladine) は、天然に存在する強い甘みをもつ甘味料で、シダ類オオエゾデンダ Polypodium vulgare地下茎から単離される[3]。当時のチェコスロヴァキア1967年に発見され、オオエゾデンダのチェコ語での名称"osladic"にちなみ命名された。平面化学構造は1971年、立体化学はソラソジンからの部分合成を元に1975年に発表されたが1993年に訂正された(下記参照)。

この物質はサポニンサポゲニンステロイドグリコシドで、スクロースの500倍甘い[4]。関連化合物のポリポドシドAはオオエゾデンダの近縁種リコリスファーン P. glycyrrhiza の地下茎に存在し、6%スクロース水溶液の600倍の甘さがある[2]

正しい構造と甘味の度合い決定の過程

発見当初、研究者の私信を基にオスラジンはスクロースの3000倍甘い超甘味配糖体とされていたが、発表された構造式に一部不明な点を残していた。このことから、1993年徳島文理大学西沢麦夫らが初めて全合成を試みたところ、従来オスラジンとされていた構造の物質は甘みを持たなかった

そのため、オオエゾデンダの地下茎から抽出したものを元に改めてオスラジンの構造を決定したところ、従来のオスラジンの構造式は側鎖の立体配置が間違っていたことが判明。結局、合成された「正しい」オスラジンはスクロースの500倍の甘みを持つことが判明した[5]

脚注

  1. ^ a b c C.-R. Yang & O. Tanaka (1999). “Advances in Plant Glycosides, Chemistry and Biology”. Proceedings of the International Symposium on Plant Glycosides, August 12-15, 1997, Kunming, China. Elsevier. ISBN 9780444501806 
  2. ^ a b AD Kinghorn & CM Compadre (2001). Alernative Sweeteners (Third Edition, Revised and Expanded ed.). New York: Marcel Dekker. ISBN 0-8247-0437-1 
  3. ^ J Jizba, L Dolejs, V Herout & F Sorm (1971). “The structure of osladin — The sweet principle of the rhizomes of Polypodium vulgare L.”. Tetrahedron Lett. 18: 1329-1332. doi:10.1016/S0040-4039(01)96701-2. 
  4. ^ Yamada, H.; Nishizawa, M. (1995). “Synthesis and Structure Revision of Intensely Sweet Saponin Osladin”. J. Org. Chem. 60 (2): 386–397. doi:10.1021/jo00107a018. 
  5. ^ 西沢麦夫、山田英俊 (1993). “甘味配糖体オスラジンの構造が違っていた”. ファルマシア 29(8): 867-872. NAID 110003646713. 

関連項目

外部リンク