オカメインコ
オカメインコ | |||||||||||||||||||||
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分類 | |||||||||||||||||||||
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学名 | |||||||||||||||||||||
Nymphicus hollandicus Kerr, 1792 | |||||||||||||||||||||
和名 | |||||||||||||||||||||
阿亀鸚哥、片福面鸚哥 | |||||||||||||||||||||
英名 | |||||||||||||||||||||
Cockatiel |
オカメインコ(Nymphicus hollandicus)とは冠羽(かんう)[1]がある全長32cm~35cmほどのオウムである。
解説
オカメインコはオウム目オウム科に属するオウムである。和名「阿亀鸚哥・片福面鸚哥」は、顔の橙色の斑点をおかめの面になぞらえたものである。
鳩と同じ位の大きさであるが、オウムの仲間では最小。尾が全長の半分を占める。精神状態によって冠羽を立てたり寝かせたりする。驚きや緊張を感じた時や危険を察知した状態では立ち、リラックスした状態では寝ていることが多い。
飼い鳥として日本でもポピュラーな種である。セキセイインコなどおとなしい他の種とであれば一緒に平穏に飼育可能であり、人にも良く懐く。また容易に繁殖する。オスメスの判断は主に尻尾の模様の有無や顔の模様で、ルチノーの場合は尾にある黄色の縞模様のみで判断する。パイドなどでは外見上のオスメスの識別は難しい。通常、少しかがんだ体勢で見上げるようなポーズ(抱卵の体勢に近いポーズ)から、勢いよく数歩前に歩き、鳴き真似もしくは鳥本来の独特の鳴き声をだす方がオスである。メスもオスと同じく鳴き真似をする個体はいるが、この独特のしぐさがないため、容易に判別が可能である。プロのペットショップの判別方法の多くが、個体の動きを観察するタイプのものを使用している。
この他の手法としては、羽毛や血液によるDNA性別鑑定を実施することで判定が可能。日本国内での費用は¥5000-¥8000と高額。海外に直接依頼する場合は¥3000程度で可能である。他にも親鳥の品種と子供の品種から遺伝法則により雌雄が区別できることもある。オスは口笛のまねが得意である。価格は¥10000-¥50000程度だが、ショップによっては著しい差がある。品種は14種類。一般的な店舗では2-3種類程度しか取り扱っていない。長年日本で簡単に巣引きされているため、中型インコとしては比較的安価で入手可能。
成長過程
産卵
春と秋にオス・メス双方(雌雄)の親鳥が巣を作り、メスが巣に産卵する。通常1日置きに4-7個の卵を産む。卵の大きさはウズラの卵より一回り小さい程度で、白い。雌が夜、雄が昼に交代で抱卵し、日に数回餌を食べるために巣から離れる。抱卵の時期は粟玉などの栄養価の高いものは控える。栄養が豊富にあると、抱卵を辞め交尾が始まる可能性がある。
孵化
抱卵してから18-21日程度で孵化する。孵化したばかりの雛はおおよそ4g。抱卵の状態にもよるが、毎日もしくは1日置きに孵化する。孵化は通常朝方。
生後3週間
雛は孵化当初は「チッチッチッチ」、10日程度になると「ジャー、ジャー」と鳴きながら餌をねだる。親鳥は餌を食べて巣箱に戻り雛に餌を戻して口移しで餌を与える。オカメインコを手乗りとして育てたい場合には、生後18日目~21日目に巣箱から取り出し挿し餌をすると良い。この期間である理由は、まだ雛があまり人間を恐れておらず、同時に人間が比較的容易に育てられるくらいに成長しているからである。
生後数ヶ月
親鳥が育てた場合、6週間前後に巣立ちをするが生後2ヶ月くらいまでは親に餌をもらう。 挿し餌で育てる場合は、なるべく2ヶ月~2ヶ月半までに一人で餌を食べられるようにする。長く挿し餌を続けるとそのうの中にカビが生え病気になる可能性が高くなる。オカメインコの雛の一人餌への移行は非常に難しいため、お店から購入する場合やブリーダーに譲ってもらう場合は、出来るだけ自分で餌を食べられるようになった個体を選ぶべきである。
成鳥
生後半年も経てばオスの顔の羽の色はまばらに黄色になり、オス鳴きをはじめ雌雄の区別が容易になる(ただし種類によっては識別困難な事もある)。メスは尾の裏側に波状の模様がある。オカメインコの1歳は人間の年齢に換算するとおよそ18歳程度。寿命は15年~25年程度で稀に30年を超える物もおり、個体差がある。
飼育
手乗り
オカメインコは最も人に馴れ易い。そのため雛の状態で販売されている。孵化後二ヶ月経つとほぼ親と同じぐらい大きくなる。人に馴れている個体の場合は雛から育てなくても手乗りになる事も可能である。
オカメパニック(Night Frights)
大人しく繊細な性格のオカメインコは、夜中に大きい物音がしたり地震が発生した時などケージの中で闇雲に飛び回る。このことを日本ではオカメパニック、英語ではNight Frights(夜の恐怖)と呼んでいる。朝起きて羽が下に落ちている、怪我をしているというようなことがあれば、夜の間にこの現象が起きた可能性が高い。対策としては常夜灯をつけておいて部屋を真っ暗にしないこと、飼い主が起きて優しく声をかけてやること等がある。日中においても外を飛ぶ野鳥の姿に驚いて怪我をすることもある。
鳴き声・声真似
- オスは機嫌がいいと囀るが、時に非常にうるさいほど鳴き叫ぶことがある。
- メスは普段おとなしい個体が多いが、飼い主の気を引くために大声を出す場合もある。
- 手乗りの場合飼い主に要求したり、気を引くために鳴く個体が多い。
- オスは短い単語を数語であれば覚えて喋る場合もあるが多くの場合飼い主以外には言葉としては聞こえない。口笛の方を得意としている。
行動
- 綿棒や落ちた尾、粟穂などで遊ぶ。
- 良く慣れた手乗り以外では、手を怖がる個体が多い。
- 猫のように頭や首筋を掻いてもらうことを好み、人に慣れている場合は頭を下げて要求する。
- オカメインコ同士でもお互いに掻き合う。
餌
- 粟、稗、黍、カナリーシードを主とし、蕎麦の実、オーツ麦を適度に配合する。
- ひまわりの種や麻の実など脂肪分が高いものを好むが繁殖期や冬季などに必要に応じて与える。
- ペレットは総合栄養食として優れている。ただし、着色されたペレットを与えるとフンまで着色され、フンによる健康管理が困難になるので注意。また種子食のオカメインコをペレット食にさせるのは、一般に着色や風味付けが無いと困難である。
- 種子を主食とする場合は、ビタミンやカルシウムを多く含む小松菜などの青菜を毎日与える必要がある。
- ボレー粉、カトルボーン(イカの甲)はカルシウム摂取のために与えた方が良い。特に産卵期には必須。
- 一般にオカメインコ用として発売されている餌の中には、オカメインコが好むよう、脂肪分が多いものを沢山入れている(肥満や不要な発情を招く)ものもあるので、注意が必要である。
飼育に関しての注意
- 脂粉
- 羽元から粉がたくさん出て空気中に散らばる。そのため喘息等気管支系に問題がある人は、飼育に適さない。
- しつけ
- 根気良く教えれば芸を覚える個体もいるが、覚えない個体のほうが多い。
- フンは、通常健康ならば深緑色か茶色に少し白色(クリーム色)が付いていた固体状である。ただし、着色されたペレットを与えている場合はフンも着色されることがある。緊張するとフンの量は増え、増えると水分の多いフンをする。形の崩れたものや色の異常なフンを発見した場合には病気の可能性があるため早期に病院に連れて行く必要がある。
- 人の食べ物で与えてよいもの
- オカメインコは野生では、アカシアの花や実(別名:ワトルシード)や樹皮、イネ科の草、昆虫などをたべているが、人の飼育環境下では穀物主体のシード食やペレット食に人工的に切り変えられている。こういった背景や飼い主の知識不足が原因で、飼育環境下のオカメインコは雑食化しているケースが多い。日本では鳥についての情報もまだまだ乏しいため、サイトや本では与えて良い物と悪い物が混同されて記述してある場合がある。加工食品類やご飯類などはそ嚢炎になる可能性があるため与えない方が良い。またホウレンソウにはシュウ酸が含まれておりカルシウムの吸収を妨害するといわれている。最近のホウレンソウにはシュウ酸やマグネシウム(アクの成分)が少量しか含まれておらず問題ない、という考えもあるが、わざわざそのような疑わしい野菜を与える必要はない。
鳥向けの半生化状態の加工食品の例として、ケイティ社製の鳥向け調理食商品などがあげられる。
次の鳥向け飼料に含まれる人の食べ物は、オカメインコ飼育者の間でも利用例が多く、一般的な食事として成分上問題ないことが証明されている。
黒瀬ペットフード社プロショップ向けフード マニア・・・チンゲン菜、大麦若葉、モロヘイヤ、イチゴ、リンゴ、バナナ、かぼちゃ、にんじん、ケール、赤唐辛子
黒瀬ペットフード社最高級塩土・・・塩、食用炭 ※個体によって大量の塩土を摂取する場合があるので与える量は適量にしておく。
ズプリーム社アントレー・・・リンゴ、トマト、ピーマン、ニンジン、セロリ、赤唐辛子 ※ニンジンのトップには硝酸塩というものが含まれているため、トップ部分は与えない方がよい
スドー社オカメの多穀ブレンド・・・パセリ、セロリ、エンドウ
スドー社オカメのセレクトミックス・・・パイン、パパイア、レーズン、ココナッツ、アーモンド、グリーンピース、米(種子の状態)
バードセレクション社オカメインコ・・・ソバ(種子)、米(種子)、マンゴー、かぼちゃ、パパイヤ
メディマル社グリーン・・・和漢植物混合飼料(蒲公英、大棗、枸杞葉、山薬、枇杷葉、繁縷、御種人参)・バランスミックス(米糠、フスマ、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ビタミンA、C、D3、E、B1、B2、B6、B12、D-パントテン酸Ca、ニコチン酸、K3、塩化コリン、ペプチドマンガン、ペプチド亜鉛、ペプチド銅、硫酸マグネシウム、硫酸鉄、ヨウ化カリウム、塩化コバルト、プロピオン酸Ca、乳酸菌)米糠、アルファルファミール、炭酸Ca ペッツイシバシ社小鳥用サプリメント・・・にんにく
ラフィーバ社プレミアム デイリーダイエット・・・キャノーラ油、さとうきび、卵
鳥は犬や猫に比べるとまだまだ飼われている数が少ないため、誤情報が多々ある。そのため何か新しい餌や青菜などを与える際には、たくさんのサイトを見て回ったり、鳥について知識のある獣医師に電話するなどして、前もって調べておくべきである。
品種
品種は主に体の羽色と模様、顔部分の色で区別される。現在確認されている種類は以下の14種。 ノーマル、ルチノー、シナモン、パール、パイド、ホワイトフェイス、パステルフェイス、SLYC(通称イエローフェース)、ドミナントイエローチーク(通称DYC)、エメラルド(またはオリーブ)、レセッシヴシルバー、ファロー、ドミナントシルバー、プラチナシルバー(オーストラリアのみに存在)。 ルチノーはメラニン色素(グレー)が欠けているため、顔や頬は黄色、体はクリーム色をしている。このルチノーとホワイトフェースの両方が表現された個体をアルビノと呼んでいるが正しくはホワイトフェイスルチノーである。本来のアルビノは突然変異により完全に色素を失った種類であるが、オカメインコでこの存在は正確には確認されておらず、ペットショップなどでは目の色で判別されるのが一般的である。 またパイドの別称をイザベラと呼び、一部地域ではパールと混同しているが、パイド(イザベラ)とパールはまったくの別種である。
ペットとしての歴史
- オカメインコはオーストラリアの内陸部に群れをつくって生息しているが、イギリス人が本国に持ち帰りペットとして広まったのが200年ほど前である。
- 学名の「Nymphcus hollandicus」はオーストラリアを初めて本格的に調査したオランダ人がオーストラリアを「ニュー・オランダ」と名付けたことから、「Psittacus novae-hollandiae(ニュー・オランダのオウム)」と呼んでいたものを1832年にドイツのヨハン・ワーグラーにより「ニュー・オランダの妖精」という意味で付けられた[2] 。
- 英名の「Cockatiel」(コッカティル)は1845年にヨーロッパでペット目的の繁殖が行われた時に、ペット業者がポルトガル語の「Cacatilho」(小さなオウム)を元に名付けたとされる[2] 。
- 品種改良は1950年ごろにパイドが報告されたのを始め、現在では組み合わせで何種類もある。
- 日本には明治末期の1910年代に輸入され、ペットとしての歴史は意外と長いが原種の色合いが地味なことから同じオーストラリア産のセキセイインコなどと比べると全く普及せず、1960年代頃までセキセイインコの10倍以上の価格が付けられていた。しかし、ルチノーなどの品種が開発されると徐々に人気が上がり、現在ではペットショップで普通に見かけるほどになった。
ギャラリー
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ノーマルのオス
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ノーマルのメス
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ホワイトフェイスのオス
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ヒナ
参考文献
- 磯崎哲也、木下隆敏『ザ・オカメインコ』、誠文堂新光社、2002年
- よこいちえ、ゆめみるオカメインコ、ブライト出版、2009年、ISBN:978-4861233555
- やまねきしかん、そらいろオカメインコ、ブライト出版、2010年 ISBN:978-4861234330