イヴァーン・ヴァシーリエヴィチ

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イヴァーン・ヴァシーリエヴィチ
Иван Васильевич
著者 ミハイール・ブルガーコフ
訳者 川上洸
発行日 1956年
日本の旗 1971年12月20日
発行元 Центральная студия киноактера
日本の旗 白水社
ジャンル 喜劇
ソ連
言語 ロシア語
形態 上製本
ページ数 48
公式サイト 全文電子化 (ロシア語)
コード ISBN 5-352-00476-7(原書)
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イヴァーン・ヴァシーリエヴィチ …三幕の喜劇…[1](原題ロシア語: Иван Васильевич)は、M・A・ブルガーコフ[2]による戯曲である。1934年から1936年にかけて書かれた3幕のパロディー喜劇で、以前に書かれた戯曲『至福 Блаженство』が土台となっている。作家の生前は上演が許されず、出版もされなかった。死後の1965年に初発表。

日本での出版は、白水社よりなされている。『現代世界演劇15 風俗劇』に川上洸訳の本編が収められている。同書は1971年12月10日印刷、同年12月20日発行。以下、翻訳・表記はこれに準ずる。

登場人物[編集]

  • ジナイーダ・ミハーイロヴナ[3]:映画女優
  • ウリヤーナ・アンドレーエヴナ:アパート管理人ブンシャの妻
  • 王妃
  • チモフェーエフ、ニコラーイ・イヴァーノヴィチ:発明家
  • ミロスラーフスキイ、ジョールジュ
  • ブンシャ=コレーツキイ、イヴァーン・ヴァシーリエヴィチ[4]:アパート管理人
  • シパーク、アントーン・セミョーノヴィチ
  • ヨアーン雷帝[5]
  • ヤーキン:映画監督
  • 宮廷書記[6]
  • スウェーデン大使
  • 総主教
  • 親兵たち
  • 大膳職たち
  • グースリ奏者たち
  • 警官

プロット[編集]

発明家のニコラーイ・チモフェーエフは、モスクワのアパートでタイムマシーンを開発している。突然、彼の妻ジーナが彼を棄てる。チモフェーエフは一向に気にしない。そこへ、アパート管理人のブンシャが家賃の取立てに現れる。するとチモフェーエフは装置の鍵を回し、壁が消え去る。隣人シパークの部屋には盗人ジョールジュ・ミロスラーフスキイが潜んでいる。チモフェーエフが正面玄関を開けると、そこは16世紀モスクワになっている。驚きのあまりヨアーン雷帝は現代に飛ばされ、ブンシャとミロスラーフスキイは過去に取り残される。

タイムマシーンは壊れる。ブンシャを親兵たちはツァーリと取り違える。現代では映画監督のヤーキンがジーナを見限り、そのためツァーリに殺されそうになる。ミロスラーフスキイはスウェーデン大使にケミを割譲する。ブンシャは酔っ払う。結局、盗人と管理人は親兵たちから救出され、現代に帰る。そこではツァーリがシパークを怒らせていたため、現代に戻った二人が警官に逮捕される。

第2版では、これは過度の仕事で疲れた発明家の夢であったと明かされることに変更された。

執筆[編集]

1934年、ミハイール・ブルガーコフは音楽ホールと喜劇執筆の契約を結んだ。最初の素案は『至福 Блаженство』と題されていた。この作品ではタイムマシーンは未来へ飛び、ヨアーン雷帝はただエピソードの中にしか登場しないものであった。

映画[編集]

1973年、この戯曲をもとにしたコメディ映画イヴァーン・ヴァシーリエヴィチ、転職するロシア語版Иван Васильевич меняет профессию』が、レオニード・ガイダーイロシア語版監督・モスフィルム製作により公開され、大ヒットした。

戯曲と比較した場合、チモエーエフの名前がニコライからアレクサンドル(シューリク)に変更された。シューリクはこの映画の主役を演じたアレクサンドル・デミヤネーンコロシア語版がガイダーイの多数の作品で演じた主役の名前で、彼を有名にした役名である。

脚注[編集]

  1. ^ 翻訳書ではダッシュ部分に「横線」を使用しているが、ウィキペディアの規則により「…」で代用する。Wikipedia:表記ガイド#以降の省略表記参照。
  2. ^ 翻訳書における表記。
  3. ^ 愛称形でジーナ。
  4. ^ 原書ではたんに「ブンシャ=コレーツキイ」。
  5. ^ ヨアーンイヴァーンの古い形で、雷帝と呼ばれたイヴァーン4世のこと。彼の父はヴァシーリイ3世なので、その名と父称はイヴァーン・ヴァシーリエヴィチとなり、アパート管理人ブンシャのそれと同じになる。
  6. ^ 名前はフェオファン、フョードルだが、作中登場人物によっては専らフェージャ、フェージカと呼ばれる。

外部リンク[編集]