フィリパ・ピアス

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アン・フィリッパ・ピアスAnn Philippa Pearce, OBE1920年1月23日 - 2006年12月21日)は、イギリス児童文学作家。

ケンブリッジシャーグレイト・シェルフォードという村の代々続いたキングス製粉工場で育った。ケンブリッジのパース女学校に学んだ後、ケンブリッジ大学ガートンカレッジを卒業。その後ロンドンに移り、13年間、BBCのラジオの学校教育番組の番組制作の仕事に携わっていた。

1955年に最初の著書『ハヤ号セイ川をいく』(Minnow on Say )を刊行する。その後の彼女の作品と同様、彼女が育ってきた地方、特にリトル・シェルフォードとリトル・バーレイの村々から着想を得たもので、ケンブリッジは「キャッスルフォード」という大学町になり(ウェスト・ヨークシャーに同名の町があるが、それとは無関係)、カム川はセイ川になっている。

ピアスの最も有名な作品『トムは真夜中の庭で』(Tom's Midnight Garden )は、時をテーマにした小説の古典といわれるようになり、映画化され、また何度もTV化されている。「真夜中の庭」は、実際に彼女が育った製粉工場の庭をモデルにしたものである。彼女はこの作品で、カーネギー賞を受賞している。

その他の作品としては、『まぼろしの小さい犬』(A Dog So Small, 1962年)、『ペットねずみ大さわぎ』(The Battle of Bubble and Squeak, 1978年)、『サティン入り江のなぞ』(The Way To Sattin Shore, 1983年)などがある。『ペットねずみ大さわぎ』は、TVのチャンネル4の教育番組 "Talk, Write and Read" で全2回の番組として放送された。

フィリッパ・ピアスの夫マーティン・クリスティは、最初の子どもが誕生して間もなく亡くなった。当時、彼女は既に40代に差しかかっていた。1973年以降、彼女はグレイト・シェルフォードの彼女が育った土地に住んでいた。

フィリッパ・ピアスは決して多作な作家ではなかったが、晩年まで約50年間の執筆活動を続け、会議に参加し、アンソロジーを編纂し、短編も書き続けた。2002年にはイギリスの首相の公邸ダウニング街10番地での児童文学作家のレセプションにも出席した。2004年、20年がかりの初めての長編小説『川べのちいさなモグラ紳士』(The Little Gentleman )を出版している。

2006年12月21日、ニューカッスルにある児童書センターの展示室にて脳卒中で倒れ、86歳で死去した。葬儀は無宗教で行われた。(2006年2月27日 朝日新聞

なお、アニメ映画監督の宮崎駿は、1990年の雑誌『図書』誌上の対談の中で、自分が影響を受けた外国の児童文学作家として、フィリップ・ターナーエリナー・ファージョンらとともに、フィリッパ・ピアスの名前を挙げている。

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