アキー

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アキー
アキーの果実
分類
: 植物界 Plantae
: 被子植物門 Magnoliophyta
: 双子葉植物綱 Magnoliopsida
亜綱 : バラ亜綱 Rosidae
: ムクロジ目 Sapindales
: ムクロジ科 Sapindaceae
: アキー属 Blighia
: アキー B. sapida
学名
Blighia sapida
K.D.Koenig (1806)
和名
アキー
英名
ackee, akee

アキー: ackeeまたはakeeBlighia sapida)はムクロジ科アキー属樹木またはその果実ジャマイカの食文化に重要な果実である。

植物学上の特徴と分布

熱帯西アフリカ原産。樹木は高さ8~12mになる。果実は赤く内部が三つの部屋に分かれている。それぞれに黒く丸い種子と黄色の果肉仮種皮)が入っている。

1778年以前、奴隷船によって西アフリカからジャマイカにもたらされたと考えられている。そして1793年、イギリスのウィリアム・ブライによりヨーロッパに始めて紹介された。学名のBlighiaは、ブライを記念して付けられた。

利用

原産地の西アフリカではほとんど食用にされず、移植されたジャマイカでのみ食べられる不思議な果実である。果肉(仮種皮)を野菜のように調理して食される果実で、味はフルーツの甘味が無く、クルミのように脂肪分のコクがある。未熟の時は有毒で、外側の赤い皮が弾けると食べられるようになる。完熟時でも果肉の下にある膜の部分は毒を含んでいるため調理するさいに取り除かれる。

ジャマイカではとても好まれる食材で、卵に似た黄色いアキーの果肉と塩漬けのタラを炒めた「アキー・アンド・ソルトフィッシュ」はジャマイカの国民食と言われている。ジャマイカではアキーの缶詰が流通しており、ジャマイカ以外の日本や北米などの地域でも一部のジャマイカ料理店で缶詰を調理したアキー料理を食べることが可能である。

毒性

未熟のアキーには高濃度のヒポグリシンというシクロプロパンを含むアミノ酸系の毒物が含まれている。原産地の西アフリカではアキーを漁の魚毒として利用している。人間がヒポグリシンを摂取すると痙攣、昏睡、致死性の脳症などを誘発し、最悪の場合は数時間で死亡する危険性がある。ジャマイカや西アフリカでは現在までアキーの摂取が原因の死亡事故が報告されている。この病気は、ジャマイカ嘔吐病英語版と呼ばれている。

過去にアメリカの厚生省にあたるFDAはアキーには健康上の問題が有るとして、米国内で流通していたアキーの缶詰を回収している[1]

ギャラリー

関連項目

参考資料

  1. ^ FDA報告資料(英語)[リンク切れ]