ねこの駅長たま びんぼう電車をすくったねこ

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ねこの駅長たま びんぼう電車をすくったねこ』(ねこのえきちょうたま びんぼうでんしゃをすくったねこ)は、小嶋光信による児童文学作品。挿絵は永地。「猫の駅長」として有名になった、貴志駅の駅長猫・たまを描いた作品である。

あらすじ

和歌山のローカル鉄道路線、貴志川線。終点の貴志駅近くで暮らす雌猫ミーコに「たま」が生まれ、ミーコと共に駅傍らの商店の女将に引き取られる。たまとミーコは女将が駅前に設置した猫小屋に住んでいた(のちに、チビもたま・ミーコの家族として加わる)。だが、運営していた南海電気鉄道が貴志川線の撤退を表明する。地元の人々は委員会を設置して存続運動を起こしたことで、岡山の鉄道会社と和歌山県が手を挙げた。だが、和歌山県は貴志駅前が公共施設に成るためにたまたちのいる猫小屋の撤去を女将に要求。女将は新会社の社長に直談判すると、社長はある提案をした。

登場人物

たま
本作の主人公で三毛猫。彼女の住む猫小屋問題がきっかけで、社長の指令で(新会社としては)貴志駅の初代駅長となる。社長、女将、ミーコたちの後押しで駅長としても成長、スーパー駅長を経てウルトラ駅長となる。死後は再び社長に任命されて「たま大明神・永久駅長」となる。
ミーコ
たまの母親で、キジトラ。駅長となったたまを助役としてサポートする。鉄道会社の従業員となった娘2匹を指導していくが、「ちびと2匹で駅を守って」とたまに託して永眠。
ちび
たまの妹でミーコの末娘。だが、行き倒れの状態で貴志駅に現れて「たま」と女将に介抱されて、そのままミーコ一家に入ったため、たまとミーコとは血のつながりはない。ミーコと同時期に助役に就任、たまをサポートする。だが、その後は行方不明となる。
女将
貴志駅の傍らで雑貨店を営む。町猫であったミーコの妊娠を機会に、ミーコとたま、そしてちびの母親となる。猫小屋問題が浮上した際には、(店自体が食べ物を扱うので猫を置いておくわけにはいかず困惑して)たまたちの行く末が心配で社長に直談判をする。ミーコが死ぬと、完全にたまの心の支えとなる。
社長
南海電鉄に代わって、貴志川線を引き受けた新会社の社長で、親会社でもある岡山の鉄道会社を運営する社長でもある。猫小屋問題をめぐって女将に直談判をされたため、「ただのペットではなく駅長としてなら駅に於けます」とたまに駅長を任命。たまが危篤(まだ危篤とは全員思わなかった)の時は、病院に駆けつけて、たまとの会話を済ませると岡山へ戻るが、直後に何かを感じた彼が問い合わせて、たまの訃報を知る。
レオ
貴志駅近くに住むゴールデンレトリバーの雌犬。たまと年齢が近い事も有って、親友となる。「たま師匠と違って役立たずな私」と号泣するニタマに優しく慰める。
おまっちゃん
たま、レオと親しいセキレイ。貴志駅に来てはたま、レオとよく遊び、外の世界を自慢するかのように話す。たまのために周辺視察をする事も有る。ニタマの指導で悩むたまに「レオとニタマの話を聞いてみて」と呼びだす。
ニタマ
たまのフォローをさせるために社長が岡山から連れてきた雌の三毛猫。おっとりのんびり屋で師匠のたまからみっちり指導を受ける。師匠であるたまに憧れてついていき、伊太祁曽駅初代駅長を務め、たまの死後は二代目駅長に就任。
先生
貴志駅近くに住む元教員。地元の人々に慕われ、たまと貴志駅、貴志川線の行く末を憂いていた。そのため、地元に押される形で「貴志川線を存続させる会」会長に就任、存続運動の中心人物となった。
ミリアム・トネロット
ヨーロッパの文化などを実録映画化する映画監督。ストラスブール大学講師でもある。世界初の猫による駅長である「たま」に注目して映画化。映画「ネコを探して」として他の猫と共に登場させている。

書誌情報