貴族院議長 (イギリス)

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イギリスの旗 イギリス
貴族院議長
Lord Speaker
貴族院ロゴタイプ
Flag of the House of Lords
貴族院の旗
現職者
アルクルーイスのマクフォール男爵ジョン・マクフォール(第4代)
John McFall, Baron McFall of Alcluith

就任日 2021年5月1日
呼称上院議長
担当機関貴族院
指名各政党党首
任命貴族院議長選挙
国王チャールズ3世(形式上)
任期5年(3選禁止)
創設2006年7月4日
初代ヘイマン女男爵ヘレン・ヘイマン
職務代行者貴族院副議長
ウェブサイト公式ウェブサイト

貴族院議長: Lord Speaker)は、イギリス貴族院の議長。

2005年憲法改革法により貴族院議長の役割を果たさなくなった大法官に代わって2006年に新設された。

歴史[編集]

中世から2006年まで貴族院議長の役割は大法官 (Lord Chancellor) が果たした。しかし2005年憲法改革法によって大法官の地位が変更され、貴族院議長の役割を喪失し、代わって貴族院議長(Lord Speaker)が設置されることになった[1][2]

貴族院議長は貴族院議員の互選によって選出される[1]。貴族院議長の任期は5年であり、2期まで務めることができる[3]。貴族院議長は党派的行動を取らないことが期待され[3]、政党に所属していた場合、互選時に無所属英語版となる[4]。貴族院議長は庶民院議長と異なり、討論に参加したり、院の秩序を保つ権利を有さない(院の秩序を維持する権利は院全体が有する)[5][6]。補佐役として20人から25人程度の副議長が置かれる[3]

最初の貴族院議長選挙英語版2006年6月28日に実施され、労働党一代貴族ヘイマン女男爵ヘレン・ヘイマンが当選し、同年7月4日に就任した[7]

ヘイマン女男爵の5年の任期が切れた後、2011年7月13日に2度目の貴族院議長選挙英語版が実施され、中立派(クロスベンチャー)の一代貴族デ・スーザ女男爵フランセス・デ・スーザが当選し、同年9月5日に就任した[6]。2016年6月13日の貴族院議長選挙英語版で一代貴族ファウラー男爵ノーマン・ファウラーが当選した[8]。2021年4月13日から15日にかけて行われた貴族院議長選挙英語版で一代貴族のアルクルーイスのマクフォール男爵ジョン・フランシス・マクフォールが当選[9][10]

貴族院議長一覧[編集]

写真 爵位
氏名
(生没年)
貴族の分類 在任期間 以前の所属政党
1 ヘイマン女男爵
ヘレン・ヘイマン
(1949–)
一代貴族 2006年7月4日
- 2011年8月31日
労働党
2 デ・スーザ女男爵
フランセス・デ・スーザ
(1944–)
一代貴族 2011年9月5日
- 2016年8月31日
クロスベンチャー
3 ファウラー男爵
ノーマン・ファウラー
(1938–)
一代貴族 2016年9月1日
- 2021年4月30日
保守党
4 アルクルーイスのマクフォール男爵
ジョン・フランシス・マクフォール
(1944–)
一代貴族 2021年5月1日
- 現職
労働党

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

  1. ^ a b 高野(2010) p.84-85
  2. ^ 神戸(2005) p.103/380
  3. ^ a b c 古賀・奥村・那須(2010) p.17
  4. ^ The Lord Speaker”. www.parliament.uk. 2017年8月20日閲覧。
  5. ^ 神戸(2005) p.103
  6. ^ a b “Baroness D'Souza elected new Lords Speaker” (英語). BBC News. (2011年7月18日). http://www.bbc.co.uk/news/uk-politics-14190737 2014年12月16日閲覧。 
  7. ^ Lord Speaker election results”. イギリス議会. 2014年12月16日閲覧。
  8. ^ House of Lords to elect new Lord Speaker”. UK Parliament (2016年5月4日). 2016年11月18日閲覧。
  9. ^ Lord Fowler – Parliamentary career”. UK Parliament. 2021年2月1日閲覧。
  10. ^ Lord Speaker announces he is stepping down”. UK Parliament (2021年2月25日). 2021年2月25日閲覧。

参考文献[編集]

  • 古賀豪奥村牧人那須俊貴主要国の議会制度』(PDF)国立国会図書館調査及び立法考査局、2009年http://www.ndl.go.jp/jp/diet/publication/document/2010/200901b.pdf 
  • 神戸史雄『イギリス憲法読本』丸善出版サービスセンター、2005年。ISBN 978-4896301793 
  • 高野敏樹イギリスにおける「憲法改革」と最高裁判所の創設 : イギリスの憲法伝統とヨーロッパ法体系の相克上智短期大学、2010年。NDLJP:8226552https://iss.ndl.go.jp/books/R100000040-I000172429-00