特殊大量殺人機

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特殊大量殺人機」(とくしゅたいりょうさつじんき)は、星新一短編SF小説である。初出は「小説新潮」1968年7月号。

特殊大量殺人機を開発した博士と助手の悲喜劇である。

あらすじ[編集]

エフ博士は陽子振動式・特殊選択的・遠隔作用・大量殺人機を開発した。博士は機械の性能をテストするため、死刑が確定し救済方法の無い囚人を殺した。2日後に死刑囚が一斉に死亡したというニュースが流れ、テストは成功した。次に、博士と助手は「死刑囚以上に凶悪にして、罰をまぬがれている人」をこの機械で殺した。

助手は大喜びし、さらなる悪人の抹殺を提案するが、博士はそれを戒め機械を封印しようとする。しかし資金がないため、新たな装置を開発するための資金を集めることにする。

博士は財界関係者を相手に資金の支援を求めようとしたが、新手の詐欺だと思われ相手にされず、それに怒った博士は装置の発明者を騙る者を抹殺し、自らが装置の発明者であることを明らかにする。そして会場に来た人たちに金を出すよう迫り、装置を破壊したら自動的に作動すると脅す。しかし、彼らは産業スパイを通じて情報を入手し、すでに同様の装置を入手していた。博士は産業スパイを抹殺しようとするが、産業スパイ同業組合が現れ、殺人機を入手し、財界関係者と発明者への即時報復体制を整えた。

博士は逆探知装置を公開し、殺人機を持った人に圧迫される側に教えることにした。結果として、特殊大量殺人機は爆発的に普及し、政府、与党、野党、与党内の各派閥など主義や宗教で対立するグループにたちまち広がった。変な目で見られたり、恨みを持たれたりすることの多い職業やグループに早く広がり、一匹狼主義者の組合や魔法祈禱師のグループなど、ありとあらゆるグループが殺人機を備え付け、即時報復の体制を取った。

そして、挙句の果てにはチンパンジーや猫など、動物に対しての攻撃も報復の対象となっていった。

収録書籍[編集]