物権変動
| この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
物権変動(ぶっけんへんどう)とは、物権の発生・変更・消滅の総称である。
目次 |
[編集] 物権変動の原因
[編集] 物権変動の効力発生
[編集] 意思主義と形式主義
意思主義とは物権変動は当事者間の合意のみによって生ずるとする立法上の立場をいう。これに対し形式主義とは当事者の合意のほかに何らかの形式を要求するとする立法上の立場をいう。
日本の民法176条は「物権の設定及び移転は、当事者の意思表示のみによって、その効力を生ずる」と意思主義を採用した。
なお、意思主義の下でも例外的に所有権移転等の物権変動が契約成立時に生じない場合(当事者間に特約がある場合、不特定物売買で特定がなされていない場合、他人物売買の場合など)がある点に注意を要する。
[編集] 物権行為の独自性の問題
物権行為の独自性とは、物権変動の効力が発生するには売買契約などの債権的意思表示とは別に独立した物権的意思表示が必要であるとする考え方でドイツで採用されている。
日本の民法の解釈においても、民法第176条の「意思表示」とは物権的意思表示を指すもので債権的意思表示とは別個に必要とされると解する少数説(物権行為独自性肯定説)があるが、通説・判例は民法第176条の「意思表示」とは債権的意思表示でありこれによって物権変動も生じるのであり別個の物権的意思表示は不要であると解している(物権行為独自性否定説)。したがって、日本では物権行為の独自性は否定されている。
[編集] 物権行為の無因性の問題
物権行為の無因性とは、物権行為においては債権行為が無効になったとしても物権行為の効力は無効とはならない(物権行為は無因である)とする考え方でドイツで採用されている。
日本の通説・判例は物権行為独自性否定説に立つが、物権行為独自性否定説からは物権行為の無因性の問題を生じないものと解されており、物権行為の無因性を肯定することは民法の法解釈の点でも難があるとして、日本では物権行為は有因であるとする物権行為無因性否定説が通説となっている[1]。ただ、当事者間の特約により物権的意思表示が別個に切り離されている場合の扱いについては物権行為無因性否定説の中で議論がある[2]。
[編集] 物権変動の時期
- 契約時説
- 有償性説
[編集] 物権変動と第三者への公示
[編集] 公示の原則と公信の原則
- 公示の原則(消極的信頼の原則):物権変動には外部から認識しうるように対抗要件を伴うことを要するという原則
- 公信の原則(積極的信頼の原則):対抗要件を伴った物権変動の外観が存在し、それを第三者が信頼した場合には実体的な物権変動が存在しなくてもその信頼を保護すべきという原則。
- 日本では動産物権変動については即時取得制度によって公信の原則が採用されている一方、不動産物権変動については不動産登記に公信力を認めなかったので民法第94条2項類推適用(権利外観法理)によって取引の安全を図っている。
[編集] 物権変動の対抗要件
物権には排他性があり物権変動の事実は第三者の権利関係に大きく影響するので、物権変動を第三者に対抗するためには対抗要件を備える必要がある。
[編集] 不動産物権変動の対抗要件
不動産物権変動の対抗要件について、民法は「不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない」(民法177条)と規定する(不動産物権変動の対抗要件は不動産登記である)。
[編集] 動産物権変動の対抗要件
動産物権変動の対抗要件について、民法は「動産に関する物権の譲渡は、その動産の引渡しがなければ、第三者に対抗することができない」(民法178条)と規定する。また、「動産及び債権の譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律」は一定の動産物権変動につき動産譲渡登記を認めている。したがって、動産物権変動の対抗要件は引渡しまたは動産譲渡登記である。ただし、船舶や自動車など特別の登記制度や登録制度のある動産については、各種特別法上の登記や登録が物権変動の対抗要件である(船舶登記や自動車登録など)。
[編集] 慣習法上の対抗要件
立木や未分離果実などについては慣習法上、「明認方法」と呼ばれる対抗要件が認められている。