指名手配
| この記事は特に記述がない限り、日本国内の法令について解説しています。また最新の法令改正を反映していない場合があります。ご自身が現実に遭遇した事件については法律関連の専門家にご相談ください。免責事項もお読みください。 |
| 日本の刑事手続 |
|---|
| 被疑者/被告人・弁護人 国選弁護制度・被害者 司法警察職員・検察官 裁判所/裁判官 刑事訴訟法・刑事訴訟規則 |
| 捜査 |
| 強制処分・令状主義 逮捕・勾留 捜索・差押え・検証 被害届・告訴・告発・自首 |
| 起訴 |
| 公訴・公訴時効・訴因 起訴便宜主義・起訴猶予 検察審査会・付審判制度 保釈・公判前整理手続 |
| 公判 |
| 罪状認否・黙秘権 証拠調べ・証拠 自白法則・伝聞法則 違法収集証拠排除法則・補強法則 論告/求刑・弁論 裁判員制度・被害者参加制度 |
| 判決 |
| 有罪・量刑・執行猶予 無罪・疑わしきは罰せず 公訴棄却・免訴 控訴・上告・再審 一事不再理 |
| 刑法・刑事政策・少年保護手続 |
指名手配(しめいてはい)とは、警察が逮捕状の出ている被疑者を逮捕するための手段。
目次 |
概要 [編集]
特定の事件の捜査を担当する警察が、全国の警察(または同一県内の他の警察署)に対して、「逮捕状の発せられている被疑者の逮捕を依頼し、逮捕後身柄の引渡しを要求する」ために、指名手配書によって行う手配である。つまり、逮捕状が出ているが、被疑者の所在が不明である場合に行うものであり、通常は全国の警察に手配する。
特別手配 [編集]
正式には「警察庁指定被疑者特別指名手配」。殺人やテロなどの世間への影響が大きい事件を起こした被疑者が対象となり、特定都道府県だけでなく、日本全国の都道府県警察などを管轄する警察庁がその犯人に対する特別指名手配を取る。対象となる都道府県警にはその特別指名手配となった人物についての情報提供を行うための担当部署・担当者が設置され、また当該都道府県警の警察官全員に対しても、その容疑者の手配書が渡される。1972年に始まった。
過去に52人が特別手配され、公訴時効成立3人と死亡1人を除き、48人が逮捕された。過去の特別手配の例として連合赤軍事件、スナックママ連続殺人事件、オウム真理教事件、広島刑務所中国人受刑者脱獄事件がある。
法的根拠 [編集]
国家公安委員会が定めた規則である犯罪捜査規範31条以下が規定し、犯罪捜査共助規則7条以下にも同趣の規定がある。犯罪捜査規範及び犯罪捜査共助規則の法的性質は、あくまでも国家公安委員会が定めた警察内部の取り決め(行政規則)に過ぎない。つまり、一般人に対して何らかの法的効果を有する法律または命令(法規命令)ではない。したがって、「指名手配」により、被疑者の氏名等が、一般人に当然に公表されるという法的効果を持つわけではないという点に留意する必要がある。もっとも、特に重要な事件では、全国の警察機関(警察本部から末端の交番に至るまで)に加えて、公共施設などに被疑者の顔写真や氏名などを配布して、一般人の協力を呼びかける、公開捜査という捜査上の手法をとる場合は少なくない。
少年事件における指名手配と実名公開をめぐる議論 [編集]
未成年の被疑者に対して指名手配を行った場合には、少年法の趣旨によって、警察が被疑者の氏名や顔写真を一般人に公表することは原則としてない。ただし、凶悪事件で公開しなければ再犯のおそれがある場合など(1968年の永山則夫連続射殺事件の永山則夫等)は、実名と写真が公開されている。2003年に少年であっても例外的に公開を認める警察庁の通達が出されているが、2012年現在で適用例はない(警察庁HP上には、この通達は公開されていない)。少年の刑事事件の実名や顔写真の報道を禁止する少年法61条の規定など、犯罪を行った少年の処遇の妥当性については議論がある。一部の出版社からは、重大な少年犯罪をあえて実名報道する動きもある。少年犯罪の指名手配の例としては、山口女子高専生殺害事件が上げられる。2006年8月28日に同校の女子学生が校内で絞殺死体として発見され、同校に通う19歳の少年が事件の重要参考人として挙げられ、女子学生死亡後に失踪していたことから事件発覚の翌日の8月29日に指名手配となった。この際に上記の規定により実名や顔写真の掲載は伏せられたものの、殺人を行った可能性があるとして指名手配されている人物のため実名や顔写真を公開すべきとの意見が多数マスコミに寄せられ、9月7日には週刊新潮により第2の被害を防ぐとの理由により、実名と顔写真が掲載された。しかし、同日になりこの少年が8月29日に自殺していることがわかり、未成年の指名手配に対する報道に対し実名など公開するべき・するべきではないといった議論が大きくなった。
補足 [編集]
近年になってから指名手配を行っても、被疑者を確保するのが難しくなっており、懸賞金を掛け、所在に関する重要情報を通報し身柄確保の一助となった人物には賞金を受け渡す仕組みとなってきている。
2007年4月1日から警察庁は懸賞広告制度を設けた(捜査特別報奨金制度)。
最近ではYahoo! JAPANなどがホームページの広告上に無料で指名手配の被疑者の顔写真を掲載した。そうした所、多くの情報提供が来るようになったりとインターネットを使った指名手配の輪も広がっている。
2005年6月29日放送のテレビ番組『トリビアの泉』で「指名手配犯が自分で警察に捕まりに行っても『自首』にはならず罪も軽くならない」とされたが、あくまで刑法上の自首した者に対して刑を減軽する規定が適用されないだけであり、自ら出頭したことなどが裁判で酌量されて刑を減軽した判決が言い渡される可能性はある(自首、量刑#加重事由・減免事由・減軽事由を参照)。
日本警察における有名な指名手配事件 [編集]
殺人事件など故意に人を死なせた罪などの重大事件の指名手配の人間に限定する。現在指名手配されている事件のみ記載し、日本の警察が指名手配犯の身柄拘束又は死亡や公訴時効成立によって指名手配が取り下げられた事件については記載していない。
2005年以降から、死刑に対する公訴時効が25年に延長された。また2010年4月27日時点で公訴時効が成立していない事件については過去に遡って、人を死亡させた罪であつて死刑に当たる罪の公訴時効が廃止となった。
日本では11月1日から11月30日まで「指名手配被疑者捜査強化月間」とされている。
| 事件発生日 |
事件名 / 詳細外部リンク
|
|
容疑 |
時効 |
|---|---|---|---|---|
| 1971年11月14日 | 渋谷暴動事件 (大坂正明) |
殺人・放火等 | 共犯者公判停止中により公訴時効停止 | |
| 1975年2月28日 | 間組本社・工場同時爆破事件 (桐島聡) |
放火 | 共犯者公判停止中[1]により公訴時効停止 | |
| 1990年11月 | 第6次沖縄抗争の際に発生した殺人事件 | 殺人・殺人未遂・銃刀法違反 | ||
| 1992年5月30日 | 多摩市パチンコ店強盗殺人事件 | 強盗殺人 | ICPOを通じて国際手配中 | |
| 1997年8月28日 | 宅見若頭射殺事件 | 殺人・銃刀法違反 | ||
| 1998年1月14日 | 群馬一家3人殺害事件 | 殺人・放火 | ||
| 1998年10月30日 | 堺市夫婦殺害事件 | 殺人等 | ||
| 1999年6月4日 | 足立区暴走族抗争殺人事件[2] | [1] | 殺人 | |
| 1999年9月29日 | 新宮市暴力団幹部射殺事件 | [2] | 殺人・銃刀法違反 | |
| 1999年10月1日 | 鳴浜町パチンコ店員刺殺事件 | 強盗殺人 | ||
| 2001年3月23日 | 福岡市中央区エステサロン会社員殺害事件 | 殺人示唆 | ||
| 2001年11月22日 | 相模原市暴力団幹部射殺事件 | [3] | 殺人・銃刀法違反 | |
| 2003年9月19日 | 東京・山梨連続リンチ殺人事件 | 殺人・死体損壊・死体遺棄等 | ICPOを通じ国際手配中 | |
| 2003年10月24日 | 三鷹市薬局店内強盗殺人事件 | [4] | 強盗殺人 | |
| 2005年11月25日 | 三鷹市居酒屋副店長強盗殺人事件 | 強盗殺人 | ||
| 2006年4月12日 | 代々木公園米国人男性刺殺事件 | 殺人 | 国外逃亡の可能性あり | |
| 2008年7月1日 | 岩手17歳女性殺害事件 | 殺人 | ||
| 2009年1月12日 | 山口市赤妻町女性殺害事件 | [5] | 殺人 | |
| 2009年4月28日 | 八王子市母子殺害事件 | 殺人 | ||
| 2009年6月 | 横浜港バラバラ殺人事件 | 強盗殺人・死体遺棄等 | ICPOを通じ国際手配中 | |
| 2010年4月23日 | 伏見区母子殺害事件 | [6] | 殺人 |
脚注 [編集]
- ^ 大道寺あや子が裁判の途中でダッカ日航機ハイジャック事件により釈放されたため、公判が停止している。
- ^ 怒羅権も参照。
関連項目 [編集]
外部リンク [編集]
関連キーワード [編集]
- jijiyogo.com 時事用語のABC【特別手配】