人口動態学

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クラゲの在来種と外来種の個体数の増加分布図[1]
  増加 (確実性大)
  増加 (確実性小)
  安定/変動
  減少
  データなし

人口動態学 (じんこうどうたいがく、英語: Population dynamics) は人口の規模と年齢構成、それに伴う生物学的な環境の変化に関する短期的、長期的変化を研究する生命科学の一分野である。人口動態学は人口が出生率死亡率移出率移入率に影響を受ける過程に関して研究する学問であり、人口高齢化人口減少英語版などを扱う。

人口動態学の一般的な数学モデルの一つに指数関数的増加英語版モデルがある[2]。指数関数的増加モデルを用いることで、既に存在する人口に対し、任意の与えられた人口に関する変動率を求めることが可能となる[2]

歴史[編集]

人口動態学は伝統的に数理生物学の一分野として研究されてきた学問であり、数理生物学としての研究は210年以上の歴史を持つ。しかし、近年では数理生物学が対象とする分野は非常に広範囲に渡るようになっている。人口動態学の最初の原理はマルサスマルサスモデル英語版であると広く認識されている。初期の方法としては19世紀前半にマルサス成長モデルを定義しなおし修正を行ったベンジャミン・ゴンペルツ英語版ピエール=フランソワ・フェルフルストの研究が有名である。

より一般的なモデルとしては1959年にF.J.リチャーズにより提唱され、サイモン・ホプキンス英語版により拡張されたモデルが有り、これはゴンペルツやフェルフルスト、ルートヴィヒ・フォン・ベルタランフィが提唱していた数理モデルを一般化したものである。 ロトカ=ヴォルテラ方程式もまた人口動態学の基礎となる有名なモデルである。コンピュータゲームシムシティMMORPGウルティマオンライン、その他様々なゲームはこれらのモデルをシミュレーションモデルとして使用している。

過去30年間において、人口動態学ではジョン・メイナード=スミスにより初めて提唱された進化ゲーム理論がこれを補完している。この理論のもとでは、生物進化の概念は決定論的な数学モデルとして定式化される。人口動態学は人口に影響を与える感染症の数学モデル英語版の研究といった数理生物学のその他の研究分野と重なる部分がある。ウィルスの拡散に関する様々なモデルが提唱、解析されており、保健政策決定に適用されるような重要な結果を生み出している。

漁場・野生動物の増減管理[編集]

漁業野生動物管理において、個体数は3つの動態指標により影響を受ける。

  • 出生率、ある程度の大きさもしくは繁殖期に達したことを意味する. 通常捕獲でき漁獲量に含めることのできる年齢の魚を指す。
  • 個体増加率は大きさと長さを指標とした個体数の増加を表す。個体数がバイオマスで測定される漁場ではより重要とされる。
  • 死亡率には穀物の枯死や自然な死亡数を含む。自然死亡数には人間以外の捕食、病気、老衰などが含まれる。

時間1の個体数がN1であるとき、

N1 = N0 + B - D + I - E

である。ここで、N0は時間0の個体数、Bは新規に生まれた個体数、Dは死亡した個体数、Iは移入した個体数、Eは移出した個体数を表す。それぞれのパラメータは時間0と1の間の増減を示す。

ある程度の期間を設けてこれらの割合を測定する場合、期間ごとの個体数密度がどのように変化しているかを知ることができる。移出入も存在するが、通常は測定されない。

これらのすべては収穫の際の余剰分を決定する際に測定され、長期的な安定に影響を与えない人口、もしくは平均人口規模により収穫が可能な個体数を表す。収穫の余剰分は補正死亡に、収穫した個体の死亡は自然死の中に含める。これはヨーロッパで始まったものである。これ以外の収穫は添加死亡とされ、自然死するすべての動物に加えた収穫に含む。これらの用語はすべて個体数調整の上で善悪の意味はもたない。例えば、シカの場合、猟師がシカを捕える機会を意図的に減らしシカの個体数が不自然に増加した場合、DNRはシカの個体数規模をある程度小さくしようとする。

内的増加率[編集]

人口を一定にするために働く、人口密度に依存した力が働いていない場合の人口増加の割合を内的増加率と呼ぶ。

\dfrac{dN}{dt} \dfrac{1}{N} = r

ここで\dfrac{dN}{dt}は人口増加率を、Nは人口規模を、rは内的増加率を表す。これは1個体数当りの理論上の最大個体増加率を表す。

この概念は昆虫の人口生物学において一般的に使用されており、環境要素が害虫の個体数増加率にどのような影響を与えるかを決定する際に用いられる。指数関数的人口増加やロジスティック人口増加も参照のこと[3]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ Brotz, Lucas; Cheung, William W. L.; Kleisner Kristin; Pakhomov, Evgeny; Pauly, Daniel (2012). “Increasing jellyfish populations: trends in Large Marine Ecosystems”. Hydrobiologia 688. http://www.springerlink.com/content/h2m74376448540r8/?MUD=MP. 
  2. ^ a b Population Dynamics”. Sosmath.com. 2013年4月9日閲覧。
  3. ^ Jahn, GC, LP Almazan, and J Pacia. 2005. Effect of nitrogen fertilizer on the intrinsic rate of increase of the rusty plum aphid, Hysteroneura setariae (Thomas) (Homoptera: Aphididae) on rice (Oryza sativa L.). Environmental Entomology 34 (4): 938-943. [1]

参考文献[編集]

  • Introduction to Social Macrodynamics: Compact Macromodels of the World System Growth by Andrey Korotayev, Artemy Malkov, and Daria Khaltourina. ISBN 5-484-00414-4
  • Peter Turchin 2003. Complex Population Dynamics: a Theoretical/Empirical Synthesis. Princeton, NJ: Princeton University Press.
  • Weiss, V. 2007. The population cycle drives human history - from a eugenic phase into a dysgenic phase and eventual collapse. The Journal of Social, Political and Economic Studies 32: 327-358 [2]

外部リンク[編集]