五酸化炭素

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五酸化炭素
特性
化学式 CO5
モル質量 92.01 g mol−1
関連する物質
関連物質 六酸化炭素
四酸化炭素
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

五酸化炭素(ごさんかたんそ、Carbon pentoxide)は、特殊なオキソカーボンである。低温で生成、研究される。この分子は大気化学や、太陽系外縁部及び外宇宙の冷たい氷の研究にとって重要である[1]ガニメデトリトンでは、この物質が形成され、存在している可能性がある。この分子は、1つの炭素原子と4つの酸素原子からなる五員環から構成され、C2対称性を持っている。5つめの酸素原子は、炭素原子と二重結合している。五員環は正五角形ではなく、結合の長さや角度は均一ではない。炭素と結合していない酸素原子間の距離は1.406Åであるが、これらの酸素原子と炭素と結合している酸素原子との間の距離は1.457Å、炭素原子と酸素原子の間の距離は1.376Å、炭素と酸素の間の二重結合の距離は最も短い1.180Åである。OOO結合の角度は100.2°、OOC結合の角度は109.1°、OCO結合の角度は125.4°である[2]

生成[編集]

五酸化炭素は、凍った二酸化炭素に5kVの電子を照射することにより生成される。この反応機構は、四酸化炭素が酸素原子と反応するものである。この反応により、17.0 kJmol-1が放出される[2]。オゾンと二酸化炭素からの生成は165.6kJmol-1分エネルギー的に不利であり、三酸化炭素と酸素分子との反応は31.6kJmol-1を必要とする[3]

出典[編集]

  1. ^ Kaiser, Ralf I.; Alexander M. Mebel (2008). “On the formation of higher carbon oxides in extreme environments”. Chemical Physics Letters 465 (1-3): 1-9. doi:10.1016/j.cplett.2008.07.076. ISSN 00092614. 
  2. ^ a b Jamieson, Corey S.; Alexander M. Mebel; Ralf I. Kaiser (2007). “First detection of the C2 symmetric isomer of carbon pentaoxide (CO5) at 10K”. Chemical Physics Letters 443 (1-3): 49-54. doi:10.1016/j.cplett.2007.06.009. ISSN 00092614. 
  3. ^ Elliott, Ben M.; Alexander I. Boldyrev (2005). “The Oxygen-Rich Carboxide Series: COn(n= 3, 4, 5, 6, 7, or 8)”. The Journal of Physical Chemistry A 109 (16): 3722-3727. doi:10.1021/jp0449455. ISSN 1089-5639.