主題と変奏 (プーランク)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

主題と変奏』(Thème varié) FP151 は、フランシス・プーランクが1951年に作曲したピアノのための変奏曲

概要[編集]

作曲は1951年の2月から9月にかけて、ノワゼ英語版に建てたル・グラン・コトーフランス語版と呼ばれる邸宅で行われた[1]。手稿譜には「私の親愛なるヴォロディア、我が心と我が音楽のピアニストヘ」と書かれており、この時点ではウラディミール・ホロヴィッツへと曲を献呈し、初演を依頼するつもりであったらしい[1]。しかし、実際の初演は1952年12月15日にパリサル・ガヴォージャック・フェヴリエによって行われ、楽曲は家族ぐるみで付き合いのあったジェネヴィエーヴ・シェンキェヴィチ(Geneviève Sienkiewicz)に捧げられた[1]

様式的には主題と変奏から成る古典的な変奏曲である[1]。プーランクは主題に続く変奏のそれぞれに、自らの気質を表す単語を一つずつ与えていっている[2]

楽曲構成[編集]

主題と11の変奏によって構成される[3]。演奏時間は約12分[3]

  • 主題 Très calme et sans hâte
    34小節の長さの穏やかで優美な旋律[2]
  • 第1変奏 Joyeuse(陽気) Allegro molto
  • 第2変奏 Noble(気品) Lent
  • 第3変奏 Pastorale(牧歌的) Allegretto
  • 第4変奏 Sarcastique(嫌味) Allegro molto, très violent
  • 第5変奏 Mélancolique(憂鬱) Très calme
  • 第6変奏 Ironique(皮肉) Allegretto
  • 第7変奏 Élégiaque(哀歌風) Excessivement
  • 第8変奏 Volubile(多弁的) Presto
  • 第9変奏 Fantasque(移り気) Allegretto molto
  • 第10変奏 Sybilline, Bien lent
    Sybillineとは『シビュラの書』(フランス語: Livres sibyllins)のシビュラのことを指しており[1]、意味合いとしては「謎めいた」などとしてとらえることが出来る[2]。熱狂的な終曲の前に一呼吸置く効果が得られる[1]
  • 第11変奏 Finale(終曲) Allegro molto

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f POULENC: Piano Music, Vol. 3”. Naxos. 2021年12月18日閲覧。
  2. ^ a b c Booklet for CD, Poulenc: The Piano Edition, Chandos, CHAN 10014.
  3. ^ a b 主題と変奏 - オールミュージック. 2021年12月18日閲覧。

参考文献[編集]

  • CD解説 Poulenc: The Piano Edition, Chandos, CHAN 10014.
  • CD解説 POULENC: Piano Music, Vol. 3, Naxos, 8.553931

外部リンク[編集]