ローフ

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ピール英語版を使ってオーブンの外に焼きたての丸型のパンを引き出すパン職人

ローフ(loaf、複数形:loaves)は、(一般的には)丸みを帯びているか、もしくは長方形の塊という典型的な形をしたパンである[1][2]。長方形の焼き型英語版(ローフ・パンとも呼ばれる)で焼くのが一般的であり、その理由としては幾つかの種類のパン生地が潰れる傾向にあり、焼く過程で広がってしまうからである[3][4]。より粘り気のあるパン生地は希望通りのローフの形に手で成形し、平らなオーブン・トレーで焼くことができる[4]。粘り気の少ないパン生地の形を持続するには、焼く前の生地より高さのある焼き型を使う必要がある[3]

焼くときに形を保つために型に入れるミートローフやケーキのようなパン以外の製品にも同じことが言える。ローフのサイズを決めるにあたっては料理人、もしくはパン職人は焼き過ぎや焼き不足がないように調理の過程で均等に火を通すことに気を使わなければならない。大量生産する多くの種類のパンは、ローフの底にはっきりとした角をつけて明瞭な角型にされている。長方形の形をしたローフは、程度の差こそあるが同一に作ることができ、包装・出荷が効率化する。

語源[編集]

現代英語のローフ(loaf)の語源は古期英語の「hlaf」(パン)から来ているが、その元になったのはゲルマン祖語の「*khlaibuz」である[5]古ノルド語の「lev」、古フリジア語の「hlef」、ゴート語の「hlaifs」、古高ドイツ語の「hleib」、そして現代ドイツ語の「laib」もゲルマン祖語のこの語を語源としている。さらにスラブ語派ポーランド語の「chleb」、ロシア語の「khleb」)やフィン・ウゴル語派フィンランド語の「leipä」、エストニア語の「leib」)もこの語を借用している[6][7]

関連項目[編集]

脚注[編集]

  1. ^ American Heritage Dictionary of the English Language, 4th ed, 2003.
  2. ^ Victoria Wise, Susanna Hoffman, The Well-filled Microwave Cookbook (1996), p. 100.
  3. ^ a b Stanley Cauvain, Linda S. Young, Technology of Breadmaking , p. 146, 231, 380.
  4. ^ a b Keith Cohen, Artisan Bread: Techniques & Recipes from New York's Orwasher's Bakery (2014), p. 59.
  5. ^ Harper, Douglas. "bread". Online Etymology Dictionary.
  6. ^ Diakonov, I. M. (1999). The paths of history. Cambridge University Press. p. 79. ISBN 0521643988. "Slavic langues retain many Gothic words, reflecting cultural borrowings: thus khleb, (bread) from an earlier khleiba from Gothic hlaifs, or, rather, from the more ancient form hlaibhaz, which meant bread baked in an oven (and, probably, made with yeast), as different from a l-iepekha, which was a flat cake moulded (liepiti) from paste, and baked on charcoal. [the same nominal stem *hlaibh- has been preserved in modern English as loaf; cf. Lord, from ancient hlafweard bread-keeper]" 
  7. ^ The Etymology of the Word 'Bread'”. Bon Appetit. 2016年9月30日閲覧。