レイモンド・リノシエ

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レイモンド・リノシエRaymonde Linossier 1897年3月25日 - 1930年1月30日)は、フランス作家。著作『Bibi-la-Bibiste』で知られる。ダダイスムの前身であるビビズムを推進した[1]

生涯[編集]

1897年3月25日にリヨンに誕生する。医学部の教授だったジョルジュ・リノシエ(1857年-1923年)の3人の娘の末っ子であった。リノシエ家はフランシス・プーランクの一家と交流があり、雨の時期にはジョルジュが仕事をしていたパリヴィシーで会うなどしていた。1917年10月にリノシエは当時オデオン通りフランス語版の「本の友の家(La Maison des Amis des Livres)」で書店を営んでいたアドリエンヌ・モニエに連絡を取った。当時20歳で法律学校の学生だった彼女は、自作の小説『Bibi-la-Bibiste』を印刷してくれる所を探していた[2]

アドリエンヌ・モニエは彼女をポール・ビロールの妻に引き合わせた。著作は内密に出版され、モニエの書店の常連である仲間内の小さなサークルで評判となった。この作品はエズラ・パウンドの賛辞を付されて『The Little Review』誌(1920年9-10月[3])に再掲されている[注 1]

第一次世界大戦後に法律を学び始めたリノシエは1926年にパリの弁護士会に入会するが、間もなく東洋学者の道を志し、古文書保管人兼司書としてギメ東洋美術館に勤務した。彼女はジャン・プルジルスキ英語版の指導の下、仏教考古学の文献目録をまとめたほか、『Mythologie asiatique illustrée』(アジア神話図版)ではクレマン・ウアード、エレナ・ド・ヴィルマン=グラボフスカ、ジョゼフ・アッカン、アンリ・マルシェ、アンリ・マスペロと共同作業を行い、はしがきはポール=ルイ・クーシューによって書かれた。

1930年1月30日に没した。

フランシス・プーランクからはホルン、トランペットとトロンボーンのためのソナタの献呈を受けている。

著作[編集]

  • Bibi-la-Bibiste, 1918 参照 @Gallica ; réédition : La Violette noire, 1991
  • « Les Peintures tibétaines de la collection Loo », Études d'orientalisme publiées par le Musée Guimet à la mémoire de Raymonde Linossier, E. Leroux, 1932

参考文献[編集]

  • Sophie Robert, « Raymonde Linossier: ’Lovely soul who was my flame’ », in Myriam Chimènes, Sidney Buckland, Francis Poulenc. Music, Art and Literature, Routledge, 1999.
  • Éric Dussert, « Amie de Poulenc et de Fargue, Raymonde Linossier a laissé un seul roman de trente lignes qu’admirait Ezra Pound. Sa vie d’une discrétion exemplaire fut entourée de mystères », Le Matricule des Anges, n°59, janvier 2005.

脚注[編集]

注釈

  1. ^ エズラ・パウンドのコメントは以下の通り。「著者(18歳か、いずれにせよ20歳は超えないと考えねばならない)はフランスの宗教的指導、フランスの科学的指導、ブリュー、そして現代美術の三つの派閥を驚くべき無駄のない方法で持って皮肉ってみせている。本書は傑作である - 学術筋から求められるあらゆる美点 - 確固たる明晰さ、確固たる形式、序盤、中盤、終盤 - を備えている。E.P.」(The author (infant of I should think about eighteen, at any rate can't be over twenty) has managed to satirize french religious instruction, french scientific instruction, Brieux and three schools of modern art with remarkable economy of means. The book is a chef d'oeuvre,—it has all the virtues required by the academicians—absolute clarity, absolute form, beginning, middle, end.—E. P.)

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