モーションブラー

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モーションブラー (motion blur) は、動いている対象をカメラで撮影した時に生じるぶれ、つまり被写体ぶれ(英語でblur)のことである。
移動する被写体にカメラの動きを追随させて撮影する手法に関しては、『流し撮り』の項目を参照されたい。

モーションブラーを利用した動きの表現

写真におけるモーションブラー[編集]

写真の世界では長年、このモーションブラーを抑えていかにクリアな画像(=静止したかのような画像)を得るかが、技術上の大きな課題だった。それには露光時間(シャッタースピード)を極力短くする必要があり、シャッター機構の改良とフィルムの高感度化、ストロボ装置の開発が進められる事になった。また、近年ではデジタルカメラにおいて手ぶれ補正機構が開発され、比較的遅いシャッタースピードでも手ブレが生じにくいカメラが現れている。もっともこの技術はあくまでも「手ぶれ」を防止するものであって、被写体ぶれまでは防げないことは注意を要する。

その一方で、動きを表現するために、人為的にモーションブラーの画像効果を加える事もある。また写真の作例のように、意図的に長時間露光を行なうことで、あえてモーションブラー効果(この場合はネオン管の照明を強調している)を発生させる撮影方法も確立している。

映画撮影におけるモーションブラー[編集]

古くからある特撮手法である、1コマごとに撮影した静止画を繋げて動きを表現するストップモーションアニメーション(コマ撮り)においては、撮影されたフィルム(ビデオ)を普通に再生すると、一般的な動画と比較した場合にどこかカクカクとした『ぎこちなさ』を感じる。なぜなら、実際に動いている物体を撮影した場合に必ず生じるはずの「ブレ」がないために、見ている人間が(意識する、しないにかかわらず)ブレの無いことを見極めてしまうために、違和感を持ってしまうのである。したがって、撮影した画像に対してこのモーションブラーをなんらかの方法で加え、再生した際に自然な動きのように見せる方法が模索されていた。

特撮制作会社のインダストリアル・ライト&マジックは、1980年公開の「スター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲」で雪の惑星ホスに棲息する哺乳型生物トーントーンや四足歩行兵器AT-ATの特撮で、低速度撮影(シャッタースピードを落として故意に被写体のブレを生じさせる)と、動きをコンピュータ制御したカメラ(モーション・コントロール・カメラ)との併用によって、カメラの前を通過する宇宙船のスピード感を表現することに成功し、特殊合成撮影の新次元を開拓した。

これを応用・発展させた手法が、1980年の映画「ドラゴンスレイヤー」で初めて試みられた“ゴー・モーション”である。従来のストップモーションにおいては、支柱に乗った操り人形を操演担当者が手で動かして一コマずつ撮影していたのだが、本作ではコンピュータ制御の可動支柱を使用し、人形を動かしながら低速度撮影してブレを生じさせることにより、画期的なリアリティを表現することに成功している。ただし、支柱をマット合成で消去するなどの手間がかかるのが難点で、普及には至らなかった。

映画『ジュラシックパーク』では、当初フィル・ティペットによるストップモーションアニメに、CGのモーフィング技術を応用してモーションブラーを追加する方法で動く恐竜の映像を製作する予定であったが、CG技術の進歩によって劇中に登場する恐竜はフルCGのものに取って代わられる事となった。

今日のCGアニメーションにおいてもモーションブラーの再現は重要であり、多くのCGアニメーション制作ソフトウェアには効率よくブラーを生成する機能が搭載されている。

関連項目[編集]